文芸第三出版部編。講談社ノベルス。
テーマは「名探偵」。新本格ミステリブームを牽引したレジェンド作家による書き下ろしミステリ競演。ファン垂涎のアンソロジーが誕生! 綾辻行人「仮題・ぬえの密室」 歌野晶午「天才少年の見た夢は」 法月綸太郎「あべこべの遺書」 有栖川有栖「船長が死んだ夜」 我孫子武丸「プロジェクト:シャーロック」 山口雅也「毒饅頭怖い 推理の一問題」 麻耶雄嵩「水曜日と金曜日が嫌い --大鏡家殺人事件--」(裏表紙引用)
7人の新本格レジェンド7人による、「名探偵」をテーマにした書き下ろしアンソロジー。ほとんどが私の血肉となっている原点の作家さんなので、それだけで楽しかったのは言わずもがな。次は誰かな誰かなとワクワクしながら読みました。では好きな作品順に。
「水曜日と金曜日が嫌い -大鏡家殺人事件-」麻耶雄嵩
メルカトルシリーズというだけで鼻血。相方は美袋。頼まれ仕事の帰路、山林で道に迷った美袋がたどり着いた大邸宅、大鏡家。4人の音楽家と忠実なメイド、設定だけでもうごちそうさま。麻耶作品の世界観を崩さないトンデモ真相に加えて悪魔的オチに笑うしかない。しかしスマホって時系列おかしくないか。
メルカトルシリーズというだけで鼻血。相方は美袋。頼まれ仕事の帰路、山林で道に迷った美袋がたどり着いた大邸宅、大鏡家。4人の音楽家と忠実なメイド、設定だけでもうごちそうさま。麻耶作品の世界観を崩さないトンデモ真相に加えて悪魔的オチに笑うしかない。しかしスマホって時系列おかしくないか。
「仮題・ぬえの密室」綾辻行人
恒例の京大ミステリ研究会の犯人当て小説に、かつて「ぬえの密室」という幻の傑作はあったのかなかったのか。実名で我孫子さん、法月さん、麻耶さん、小野さんが登場してそれだけでもいつまでも読んでいたい気分。あの人がなぜ居ないのだろう?とずっと思いながら読んでいたのでラストでばんざい。これ、本当だといいなあ。違っても、双方のファンとしては萌え必至。
恒例の京大ミステリ研究会の犯人当て小説に、かつて「ぬえの密室」という幻の傑作はあったのかなかったのか。実名で我孫子さん、法月さん、麻耶さん、小野さんが登場してそれだけでもいつまでも読んでいたい気分。あの人がなぜ居ないのだろう?とずっと思いながら読んでいたのでラストでばんざい。これ、本当だといいなあ。違っても、双方のファンとしては萌え必至。
「あべこべの遺書」法月綸太郎
転落死した男と服毒死した男の遺書が入れ替わっていた。2人は女性を巡って犬猿の仲だったが――。誰がどう企んでどういう心理で動いたのか、ややこしいが論理的には説得力あり。でも最後の冷蔵庫の行動がなあ。。。普通そんなことする?
転落死した男と服毒死した男の遺書が入れ替わっていた。2人は女性を巡って犬猿の仲だったが――。誰がどう企んでどういう心理で動いたのか、ややこしいが論理的には説得力あり。でも最後の冷蔵庫の行動がなあ。。。普通そんなことする?
「船長が死んだ夜」有栖川有栖
兵庫県の里山で起きた殺人事件の捜査を手伝うことになった火村さんとアリス。ポスターが剥がされていた理由や男女の三角関係、狭い人間関係ゆえの機微がよく出てるなーと。ラスト、アリスが気がついてしまった言葉が真実だとしたら悲しすぎる。
兵庫県の里山で起きた殺人事件の捜査を手伝うことになった火村さんとアリス。ポスターが剥がされていた理由や男女の三角関係、狭い人間関係ゆえの機微がよく出てるなーと。ラスト、アリスが気がついてしまった言葉が真実だとしたら悲しすぎる。
「プロジェクト:シャーロック」我孫子武丸
警察でデスクワークをしている男・木崎がホームズをモデルにして作った人工知能。しかし木崎はある日謎の死を遂げる。死因は人工知能なのか?ちょっと題材が苦手な分野だったが読み物としては悪くなかったかな。人工知能こわい。
警察でデスクワークをしている男・木崎がホームズをモデルにして作った人工知能。しかし木崎はある日謎の死を遂げる。死因は人工知能なのか?ちょっと題材が苦手な分野だったが読み物としては悪くなかったかな。人工知能こわい。
「天才少年の見た夢は」歌野晶午
戦時下、天才少年たちだけを集めたシェルター内で起きた事件。まともに捜査も行われない状況で、なぜ犯人はトリックを弄したのか。さすがの斬新な発想・・・と言いたいところだが、ちょっと既視感のあるネタだったなあ。
戦時下、天才少年たちだけを集めたシェルター内で起きた事件。まともに捜査も行われない状況で、なぜ犯人はトリックを弄したのか。さすがの斬新な発想・・・と言いたいところだが、ちょっと既視感のあるネタだったなあ。
「毒饅頭怖い 推理の一問題」山口雅也
落語「饅頭怖い」をベースに、「その後」をミステリ仕立てにした作品。5人の息子全員がダメ男だというのがキモになっていればもっと良かったかなあ。せっかく「嘘つきは誰?」で盛り上がったのに。途中までは好みだった。
落語「饅頭怖い」をベースに、「その後」をミステリ仕立てにした作品。5人の息子全員がダメ男だというのがキモになっていればもっと良かったかなあ。せっかく「嘘つきは誰?」で盛り上がったのに。途中までは好みだった。
以上。やはり自分の好みは一貫しているのだなと分かる1冊だった。典型的な探偵ものに、ちょっと作家の個性が光るものが好きらしい。もちろん全体的に楽しめたが、「コレ」という傑作はなかったように思う。失礼だが全盛期を過ぎている作家さんが多いのかなと。短編に向いてる向いていないもあるだろうけどね。