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メイプル・ストリートの家/Nightmares & Dreamscapes  (ねこ3.7匹)

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スティーヴン・キング著。永井淳他訳。文春文庫。

 

死を間近にした祖父が、林檎の花びらが舞う果樹園で、孫息子に語って聞かせた“指示”とは(「かわいい子馬」)、母親をいじめる邪悪な継父を亡き者にしようとするきょうだいたちがとったとんでもない作戦(表題作)など、子どもを描かせても天下一品の著者の才能が存分に発揮された作品を含む短篇全5篇。著者自身による作品解説付き。(裏表紙引用)

 

 

単行本「いかしたバンドのいる街で(既読)」「ヘッド・ダウン(こっちは邦題でいうところのどれだろ?)」を4分冊したものだそう。

 

「かわいい子馬」
人は皆「かわいい子馬」を持つべきだと教えた祖父と孫の思い出。かわいいだけでも心はよこしまである、でもいないよりいた方がいいんだって。それはそうかも。

 

「電話はどこから……?」
テレビドラマの脚本仕立て。キングでこのスタイルを読むのは初めてかな?助けを求める電話の主は誰かが主題で、他である真相かもしれないが思いつかなかった。

 

「十時の人々」
約100ページの中編。どこでも全館禁煙が常識となり、時代からあぶれた人々を描いている。社会的に共通点のない人々の集団が現代的だと思った。モンスターパニックを禁煙問題と絡めているのが面白い。

 

クラウチ・エンド」
クラウチ・エンドで人々が次々いなくなり、その原因も正体も全く分からないというのが怖いかも。謎が謎のままというのも恐怖となり得るんだな。消えた人数が具体的なのが気になる木。

 

「メイプル・ストリートの家」
継父に怯える子どもたちとそのストレスと後悔から偏頭痛に悩むその妻。子どもたちが発見した、家の中で成長する金属とは。家族愛が良い。金属の恐怖はもとより、継父に見つかるかどうかという緊迫感のほうが勝る。


以上。どれもなかなかの出来。ホラーではないお話はそれほど好きではないかも^^;「電話~」「十時~」が好きかな。「メイプル~」も良いが、オチがちょっと訳わからないかなあ。でもまあ悪くない。