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ST 沖ノ島伝説殺人ファイル 警視庁科学特捜班  (ねこ3.7匹)

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今野敏著。講談社文庫。

 

玄界灘に浮かぶ沖ノ島。港湾工事現場での不可解な水死事件。現地へ向かった“ST”だが、そこは古代からの社、宗像大社の神域で、島での出来事を語れない“御言わず様”の因習、警察といえども現場への上陸すら許さない厳粛な掟が赤城、青山たちチームを阻む。捜査続行不可能か?“伝説”シリーズ、待望の第三弾! (裏表紙引用)

 


ST「伝説シリーズ」第3弾。これで一段落かな?

 

相変わらずサクサク読めるシリーズ。早い人なら2時間かからないと思われ。特に今回は伝説薀蓄みたいなものがほとんどなく、いつものST通常営業。なんといっても、今回の舞台。よそ者は警察であろうと事件であろうとそう簡単には入れないという厄介な島なのだ。入るには面倒な手続きや禊(裸で海へ入れと抜かす)がある上、女人禁制なのでそもそも翠さんは上陸出来ない。しかも、島人は島で起こったことを決して外に漏らしてはいけない、島のものは草木一本すら持ち出してはいけないという。どうやって捜査するの?なんでST呼んだの?って状況。

 

というわけなので、聞き込みもなかなか気を遣うし島には入れないから捜査もあまり伝説シリーズ独特の異色感がないというわけ。私のようなキャラクターファンにはそっちの方がいいと言えばいいのだけど。赤城さんはしっかり解剖するし、青山さんは聞き込みに機転が効くし、翠さんと黒崎さんの嘘発見機も活躍するし、僧侶である山吹さんの存在も生きるし、珍しく全員がそれなりに頑張った回じゃないかな。結局は、「青山さんにやる気があるかどうか」が鍵な気がするけど、いつも通り。