すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

本屋さんのダイアナ  (ねこ4匹)

イメージ 1

柚木麻子著。新潮文庫

 

私の名は、大穴(ダイアナ)。おかしな名前も、キャバクラ勤めの母が染めた金髪も、はしばみ色の瞳も大嫌い。けれど、小学三年生で出会った彩子がそのすべてを褒めてくれた――。正反対の二人だったが、共通点は本が大好きなこと。地元の公立と名門私立、中学で離れても心はひとつと信じていたのに、思いがけない別れ道が……。少女から大人に変わる十余年を描く、最強のガール・ミーツ・ガール小説。(裏表紙引用)

 


自分の名前にコンプレックスがある少女・ダイアナが自分と正反対の魅力を持った少女・彩子と出会い、挫折を重ねながら成長していく物語。

 

いやあ、ダイアナ(大穴)なんて名前付けられたら(カタカナならまだしも)私もひねくれて育つ自信あるわ。引っ込み思案になったり人とうまくやれない事を名前や親のせいにするな、っていう正論もあるけれど、これに関してはそうとも言い切れないんじゃ^^;おかしな名前って人格形成に影響及ぼすと思うけどなあ。まあそれはいいとして、ダイアナのお母さん(ティアラ)のキャラクターも強烈。あんまこういう人現実にいたら関わりたくないなあと思うような典型的な元ヤン。悪い人じゃないんだけどね。実はこのお母さんが過去にこういう人物だった、っていうのはちょっと夢物語すぎではないかと思うが。ダイアナの父親の正体もファンタジーすぎるなーと思いながら。

 

対して彩子はいいところの箱入り娘。ダイアナのオシャレでキラキラな家庭を羨ましがる女の子。まあこれは有り得るかな。私も親に兄と色違いの男の子みたいな服装させられてたから逆にレースやキラキラに憧れるようになったもん。まあ、お互い無いものねだりが高じて惹かれあったのかなという印象。

 

子ども時代はちょっとヌルい世界観で苦笑ぎみで読んでいたけれど、2人が絶交して10年間口を利かなかった期間が面白かった。やはりこんなフワフワしたお伽の世界で生きていけるはずもなく、大学生になり社会人になって2人とも色々と人生の挫折を知る。彩子パートについては起こったことが酷すぎるものの、本人にも問題があると思うので残念な展開だった。私自身、当時からこういう世界の子たちを心から卑下していたので懐かしさや甘酸っぱさもなく。でも誰しも若い頃は思い出すのが恥ずかしくなる失敗はしていると思うんだ。

 

そしてダイアナの父親の人物像にガッカリ。まあ、現実なんてこんなもんかな。。その割に都合のいい展開が多く、やっぱり夢物語は夢物語なんだなと。まあでもフィクションなんでこれぐらい痛快であってもいいと思う。あんま褒められなかったけど面白さは抜群。柚木作品のマイベスト。