すべてが猫になる

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四人の女/Follow,As the Night (ねこ4.3匹)

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パット・マガー著。吉野美恵子訳。創元推理文庫

 

前妻、現夫人、愛人、そしてフィアンセ―人気絶頂のコラムニスト、ラリーを取り巻く四人の女性。彼はひそかに自宅バルコニーの手摺に細工し、四人をディナー・パーティに招いた。ラリーには、そのなかの一人を殺さねばならない切実な理由があったのだ…。一作ごとに趣向を凝らす才人マガーが、犯人ならぬ「被害者捜し」の新手に挑んだ、いつまでも色あせない傑作ミステリ。(裏表紙引用)

 


こりゃ面白かった!パット・マガーの大傑作がここに。

 

今まで読んできた本の中でベスト・オブ・クズ男と呼びたくなるような男(ラリー)が、四人の女(前妻!現妻!愛人!婚約者!!)をテラスから突き落とし殺そうとするのだが、果たして彼は誰を殺そうとしているのだろうか――という、パット・マガー得意の「被害者探し」が主体となったミステリー。

 

ところがしかし、このお話の肝はそこではない。ラリーがどれほど忌々しい男かということがよ~~く分かる、それぞれの女とのエピソードが面白さの本当の肝。それがまあ、もう、本を持っている手がプルプルするような腹立たしい言動、行動のオンパレード。自分を大きく見せようと、偉い人やセレブなど自分に利益のある人間にだけ媚びへつらい、自分を偽って見せかけだけの人間関係を築いていくラリー。それを女が指摘しようものならブチ切れて手を出した挙句腹いせに他の女と結婚するとかどんだけ。今まで色んな腹立たしい男を読んで来たけれど、ここまでヒドイ男は知らない。勿論女側にもオイオイと突っ込みたくなるようなキャラクターは居るのだが。

 

賢い女の次は綺麗な女、綺麗な女の次は地位のある女、とそれぞれの女にそのたびバカにされ、そのたびに女を替え、自分の浅はかさを自覚していくラリーが哀れだ。。。最初は四人の女のうちの誰かがラリーを殺して終わってくれないかな、と願って読んでいたがこの結末が実際のところ1番しっくりくるのかも。

 

「七人のおば」よりも私はこちら推し。