すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

イヤミス短篇集  (ねこ3.7匹)

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真梨幸子著。講談社文庫。

 

小学生の頃のクラスメイトからかかってきた一本の電話。「覚えている?会おうって約束したこと」。その声から蘇る、憧れだった美少女の顔。それはノストラダムスが人類滅亡を予言した一九九九年七月の出来事だった(「一九九九年の同窓会」より)。他人の不幸は蜜の味。甘い六篇が詰まった著者初の短篇集。(裏表紙引用)

 

 

真梨さんの文庫新刊は、著者初の短篇集。え、真梨さんの文庫は全部読んでるけど短篇集初めてだっけ?著作が多いのでなんか意外。しかもこのタイトル^^;直球すぎないか。。。

 

「一九九九年の同窓会」
小学生の時引越しばかりしていた僕は、容姿や性格もパっとしない為いい思い出がなかった。そんな僕にかかってきた懐かしい女の子からの電話――。多分、騙されてるんだろうな、っていう読者の予想のさらにもうひと捻り。

 

「いつまでも、仲良く」
ダイエットに成功したヨシエは、仲良しグループの中で「ステータスステージ」が上がったと自尊していたが――。てか、「ステータスステージ」って言葉がもう気色悪い。こんな腹探り合って上っ面の付き合いしか出来ない人間って幼稚なんだろうなと思うが、まあ共感する面がないわけでもない。女の敵は女と言うが、思わぬところから伏兵が現れたという感じでこのオチはいい。

 

「シークレットロマンス」
これも大概気色悪い妄想恋愛のお話。ちょっとしたミステリーにもなっていて面白いが、リアリティは全くない。まあ、ほぼホラーなのだが。

 

「初恋」
中学校時代の仲間が集い、当時の「ルサンチマンノート」を見たことから過去の大事件がフラッシュバックするお話。三角関係の実態に意外な謎が隠されていて、その部分は面白かったかな。

 

小田原市ランタン町の惨劇」
出会い系サイトで知り合った女・ミキは、実はとんでもなく面倒なタイプだった――。別れを決意した男が巻き込まれた事件。これはなかなかにエグいな。今の時代ならなんとか証明出来るのかもしれないが。有り得ない、と思ったけれど実際おかしな痴情のもつれで殺人とか起きてる世の中だものね。

 

「ネイルアート」
掲示板の管理人の仕事を請け負ってから、精神がおかしくなっていく女性の物語。これが1番面白かったかな。女性だけの掲示板ってドロドロしてそうだなあ。管理人って自演とかその人がどんなサイト見てるか?とか簡単にわかるんだね、知らなかった。顔の見えない立場で言ってる人間の意見に本気になっても仕方ないと思うけどな。。。ハマると怖いね。主人公の女性も結局ミイラ取りがミイラになったような。


以上。イヤミスの冠を背負ってはいるものの、真梨さんにしてはイヤミス度は低いかもしれない。というよりは、過剰すぎるかも。言ってみれば、女性向けのマンガ雑誌「ホントにあった嫁姑戦争」とか「あなたの周りのイヤ~~な女」みたいなタイトルのやつ(なんていうの?ああいう雑誌のこと^^;)を読んでいるみたいな大げささを感じる。面白いけど読み捨てられる感じね。私は好きだけど。