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うどん キツネつきの  (ねこ3.8匹)

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高山羽根子。創元SF文庫。

 

犬そっくりの生き物を育てる三人姉妹の人生をユーモラスに描き、第1回創元SF短編賞佳作となった表題作、郊外のぼろアパートで暮らす人々の可笑しな日常「シキ零レイ零 ミドリ荘」、15人姉妹の家が建つ孤島をある日見舞った異常事態「母のいる島」、ねぶたの街・青森を舞台に時を超えて紡がれる幻想譚「巨きなものの還る場所」など、全5編を収録。第36回日本SF大賞候補作。(裏表紙引用)

 


単行本が出た時からタイトルがすごく気になっていたので文庫化にあたってお持ち帰り。不思議系のSFかな?帯の惹句が「なんだこりゃ?」だったとか。(買ったらすぐ捨てるので未確認)

 

「うどん キツネつきの」
三姉妹の飼っている犬の名前が「うどん」というだけのお話なんだけど。その要素が弱い、と思えてしまうほど姉妹の日々の世界のほうが不思議系。うどんを拾った時のちょっとおぞましい様子がすごく印象に残って引き込まれる。ラストはやっぱSFなのだなという感じ。まあ肩慣らしかな。

 

「シキ零レイ零 ミドリ荘」
これまた謎のタイトル。ミドリ荘に住む住人がとにかく皆変わった言葉を使う。日本語なんだけど。ネット用語をそのまま「(°∀°)」「orz(←これ私未だに意味が分からない)」などなどと喋る青年がとにかく面白くて。ホラ吹きのおっさんがいきなり車に撥ねられるところから始まるので、「掴み」のうまい作家さんかも。

 

「母のいる島」
16人姉妹のお話。いちいち全員の名前覚える必要はなし。。。新たな出産で生死を彷徨う母と、育った島を守る姉妹たち。ミステリ的なオチにもなっていて、お話として完成している感じ。

 

「おやすみラジオ」
謎の箱を拾った子どもたちのブログと、そのブログに気づいてパトロールしている女性の語りと交互に綴られるお話。ラジオの正体とか色々謎は残るが、これは何かの象徴なのだろうな。人気の高そうなお話。

 

「巨きなものの還る場所」
すいません、コレだけ読むのが苦痛だった。歴史やお祭りや震災や不思議なモノが混在していて、自分には合わなかった。


以上。基本的に、謎を残して終わるお話が多い。「この犬やラジオは〇〇を表現している」のように深読みするのもアリだと思うけど、まあ雰囲気を楽しむだけでもOKかな。もう少し意味が分かるようなもののほうが好きかなーと思って読んでいたけれど、1番小説として成立している最終話が合わなかったからどうだか分からんね。頭から4篇はどれも好きだったけど、「シキ零~」はもっと長く読みたかったな。