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雪煙チェイス  (ねこ3.8匹)

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殺人の容疑をかけられた大学生の脇坂竜実。彼のアリバイを証明できる唯一の人物―正体不明の美人スノーボーダーを捜しに、竜実は日本屈指のスキー場に向かった。それを追うのは「本庁より先に捕らえろ」と命じられた所轄の刑事・小杉。村の人々も巻き込み、広大なゲレンデを舞台に予測不能チェイスが始まる!どんでん返し連続の痛快ノンストップ・サスペンス。(裏表紙引用)

 

 

東野さんの新刊は文庫書下ろし。「白銀ジャック」「疾風ロンド」に続いて3作目となる。

 

今回は冤罪もの。主人公の大学生・竜実は犬の散歩のアルバイトをしていた事情から、その家の主人を殺害した疑いをかけられる。しかし竜実には、犯行時新月高原スキー場にいたというアリバイがある。警察に疑われていることを知った竜実と友人の波川は、スキー場で出会った「女神」の証言を得るため奔走するが――。というお話。

 

竜実が無罪であることは読者には分かっている状態なので、警察の誤解にイライラしつつ、さらになかなか女神に出会えない状況にハラハラしながら読むことになる。運の悪い人というのはどこまでも悪いのだなというほどに、竜実たちの人探しは難航。警察は派閥争いも絡んで当てになりそうもないが、竜実たちが乗り込んだ先に送り込まれた刑事・小杉がその持ち前の反骨心で真相に近づいてくれそうな予感。

 

竜実も最初は無罪なら逃げなきゃいいのになあ~~とか思ったり、小杉のキャラクターは理想像すぎる気もするし、真犯人が判明するくだりは結構あっさりしたものだとは思うが。(あと、オッサン連中が「ピンポーン」と言ったり指をチッチッチッと振ったり、言うことがいちいち古い)それでも一気読みという意味では最高だったし、この雪山シリーズの中では1番の面白さだったと思うな。