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ミルク殺人と憂鬱な夏 ―中年警部クルフティンガー/Milchgeld  (ねこ3.7匹)

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フォルカー・クルプフル/ミハイル・コブル著。岡本朋子訳。ハヤカワ文庫。

 

殺人事件? 俺が住む、片田舎のこの小さな町で? 警部は耳を疑った。殺されたのは、地元の乳製品工場に勤める技術者。だが困ったことに、これといった動機も容疑者も浮かばない。事件のカギは被害者の過去にあるのか、あるいはその人間関係に? 警部と部下たちの捜査がようやくたどり着く事件の意外な真相とは……不器用にして恐妻家、要領は悪いが愛すべき中年警部の獅子奮迅の活躍を描きドイツで圧倒的人気の話題作。(裏表紙引用)

 


ドイツでベストセラーとなり、テレビドラマ化もされているというクルフティンガーシリーズ第1弾。表紙とタイトルに釣られて読んでみたがなかなか面白かった。ドイツミステリというと堅苦しいイメージがあるが、これはコージーミステリのジャンルに入るのか、ほぼコメディ。

 

クルフティンガーは恐妻家でおっちょこちょいだが正義感が強く行動的な中年警部。ある日クルフティンガーの住むアルトゥスリートで殺人事件が発生。おかげで妻との旅行はキャンセル。チーズを作る乳製品会社の優秀な社員がなぜ殺されたのか?調べ続けていくうちに判明する歪んだ人間関係と、新たな殺人にクルフティンガーは振り回され続ける。

 

クルフティンガーのキャラクターを気に入るかどうかがこのシリーズを読み続けたいと思うかどうかの分かれ目だと思う。音楽隊で大太鼓を担当しているので殺人現場にその衣装で臨場したり、250度に熱した皿を素手で掴んだり、容疑者を追いかけて泥沼にハマったりと、とにかくやることなすことどんくさい。普段のおまぬけさと捜査への情熱のギャップが魅力なんだろうな。反して、妻や妻の友人夫婦(特にラングハマー)のキャラクターがどうも好きになれなかった。怒りっぽすぎるような。そして、部下3人(シュトローブル、マイアー、ヘーフェレ)の区別が全くつかない(笑)。

 

ミステリ的にはまあ、思っていたよりは凝っていたし丁寧に人間を掘り下げていたのでいいんじゃないかなー。次が出たらまあ一応読むかも。