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神様の裏の顔  (ねこ3.7匹)

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藤崎翔著。角川文庫。

 

神様のような清廉潔白な教師、坪井誠造が逝去した。その通夜は悲しみに包まれ、誰もが涙した。…のだが、参列者たちが「神様」を偲ぶ中、とんでもない疑惑が。実は坪井は、凶悪な犯罪者だったのではないか…。坪井の美しい娘、後輩教師、教え子のアラフォー男性と今時ギャル、ご近所の主婦とお笑い芸人。二転三転する彼らの推理は!?どんでん返しの結末に話題騒然!!第34回横溝正史ミステリ大賞“大賞”受賞の衝撃ミステリ! (裏表紙引用)

 


元お笑い芸人さんが描いたこの小説がなかなか凄いと評判なので読んでみた。まあ、外してもいいやぐらいの気持ちだったのだけれどこれがなかなか読ませる内容だった。

 

誰からも尊敬されていた教師・坪井が突然の病死。彼の死を悼む様々な立場の人々が通夜に集まり、それぞれが語り手となって坪井との思い出に思いを馳せる。が、その思い出が徐々にある疑惑へと発展していく――。

 

文章がテンポ良く軽妙なため、通夜という重い舞台のお話ながらもコメディタッチなのが特徴か。会話文のユーモアやキャラクターの性格付けも巧みで、さすが元芸人さん、頭がいいなあという印象。多数のキャラクターが交互に入り混じるが混乱することはなく、無関係な人々の疑問が1つの結論へと導かれるまでの流れが秀逸だ。

 

ただ、期待が強かっただけに真相が実に残念だった。これを使ったらなんでもありになってしまうんだよな。まあ意外性一発勝負の作品ではないのは理解しているし、その証明が論理的でさえあればそこを評価すべきなのも分かっているが。。。でもこういうのが「誰にでも薦められる作品」なんだろうな。