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傷だらけのカミーユ/Sacrifices (ねこ3.9匹)

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ピエール・ルメートル著。橘明美訳。文春文庫。

 

カミーユ警部の恋人が強盗に襲われ、瀕死の重傷を負った。一命をとりとめた彼女を執拗に狙う犯人。もう二度と愛する者を失いたくない。カミーユは彼女との関係を隠し、残忍な強盗の正体を追う。『悲しみのイレーヌ』『その女アレックス』の三部作完結編。イギリス推理作家協会賞、痛みと悲しみの傑作ミステリ。(裏表紙引用)

 


カミーユ・ヴェルーヴェンシリーズ第3弾、ついに完結編!終わってしまった・・・(つд⊂)。しかもこんな形で。時系列では(本国の出版順では)イレーヌ→アレックス→カミーユとなるので、本来はその順番で読めた方が良かった。まだシリーズ未読の人はぜひその順番で読んで欲しい。でないと満身創痍過ぎるカミーユの運命に心ズタズタになります^^;

 

今回は、カミーユが妻イレーヌを失ってから出来た恋人・アンヌが強盗事件に巻き込まれるところから始まる。それによりアンヌは酷い暴力を振るわれるのだけど、のっけからこの描写がエグい。。。初めてこのシリーズに触れる読者は最初の数ページを読んだだけでリタイアするかも。。。ただでさえイレーヌを残酷に殺されて精神的に参っているカミーユに次々襲いかかる悲劇。責任を感じたカミーユは警察のルールを破ってでも捜査を始める。やがてアンヌがカミーユの恋人だと見抜いてしまった金持ちボンボンの部下・ルイを巻き込んで――。

 

恋人が瀕死の重傷というだけで酷いのだが、そんなカミーユにさらに追い打ちをかけるかのような真相。いくらなんでもこれはあんまりだ。シリーズキャラに対する執着はないのか作者。

 

意外性という意味では2重の意味で充分。ストーリー的にはひたすら残酷。これがシリーズの中盤ならそういう時期だと割り切れるが、ここでカミーユとお別れとなると後味の悪さしかない。だって、カミーユを嫌いだって人いるの?