すべてが猫になる

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緋い猫  (ねこ3.7匹)

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十七歳の洋子は佐久間という工員の青年と恋に落ちる。だが仲間二名が殺害される事件が起き、犯人と疑われた彼は姿を消す。洋子は佐久間を追って故郷である東北の寒村を訪ねると、かつて東京で彼が飼っていた三毛猫を見つける。村人らは佐久間はいないと口を閉ざし、洋子を監視しはじめた。恋人との再会を信じる洋子を待っていたのは、あまりにも残酷な衝撃の結末だった。(裏表紙引用)

 

 

浦賀さんの文庫書き下ろし新刊。いつも文庫で出るからありがたや。

 

今回はシリーズものではなく単発もの。200数ページの中編だが、その内容はどす黒い。舞台は昭和20年代の日本で、プロレタリア文学にハマっているヒロインの洋子は、その関係で親しくなった工員の佐久間と愛し合うようになる。しかし”アカ”グループの青年が二人何者かに殺され、佐久間はそのまま行方不明に。警察には洋子までが疑われ、佐久間を心配した洋子は彼の生まれ育った村へと単身乗り込むが
――。というお話。

 

内容が内容だけに最初はとっつきにくかったけど、途中から一気読み。閉鎖的すぎる村人に軟禁状態となった洋子の顛末が悲惨すぎてやり過ぎ感すごい。ヒロインをここまでいじめるか普通。ここまでやるとファンの間でも好き嫌いが大きく分かれそうな。これぞ求める浦賀和宏だ!となるか内容のえげつなさにドン引くか。。。私もドン引いたけど浦賀作品らしすぎて笑いが出た。これはもう読んでみて、としか。

 

まあ何が感心したかって。浦賀氏はかなりの映画フリークで、映画館で観ていない作品はほとんどないのではないかというほどのマニアらしいのだが、どこからもその何の影響も受けていなさそうなところが凄いと思うのだ。似た作品ないもんな。