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ST 警視庁科学特捜班 黄の調査ファイル  (ねこ3.7匹)

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今野敏著。講談社文庫。

 

密室状態のマンションの一室で、若者4人の死体が発見される。彼らは皆新興宗教団体の信者たちだった―。集団自殺と片付けられかけたが、STは他殺の可能性を追う。入り組んだ宗教団体内の人間関係と、揺れ動く人間心理。僧籍を持つST山吹が、事件だけでなく人の心の裏側を解く、「色シリーズ」第3弾。(裏表紙引用)

 

 

STシリーズの色シリーズ第3弾。今回は、薬物専門家にして実家がお寺だという山吹さんを中心とした事件。山吹さんは自身も僧籍を持っていることから、普段は口数少なく穏やかな雰囲気をまとったSTの癒し的人物。ドラマでは三宅弘城さんが演じていた(ぴったり^^)。

 

新興宗教の信者である男女4人が、その団体「苦楽苑」が使用するマンションの1室で死体で発見された。現場はガムテープで目張りされており、七輪の木炭による一酸化炭素中毒死であることが分かった。STの敵役・川那部警視は自殺で処理しようとしたが、現場を検証したSTは殺人の可能性が強いと主張する――。

 

このお話は好きで、ドラマでは3回繰り返し観た。ので内容は完全に覚えている。驚いたのが、ある重要人物の性別が変えられていたこと。原作では勿論そんなくだりはなかったが、山吹さんとその人との人間関係がとても好きだったので残念だ。ミステリ的には過去1番わかりやすくシンプルなものだったが、このお話は禅についての薀蓄や問答が主体となっているので物語的には興味深い。キャップが山吹さんのお寺で座禅を組むくだりでは思わず背筋が伸びた。やってみたい気もするなあ。やらないけど。

 

あと、山吹さんに驚きの辛い過去が。人は自分が辛い目に遭うほど人に優しくなれるというが、山吹の人柄はこういう経験に裏打ちされたものなのかもしれないなー。

 

ところでどうでもいいことではないと思うのだが、STの良き理解者である菊川警部補が本書では巡査部長になってるのはどういうわけだ??あなたいつ降格しました?