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氷の眠り/Icy Clutches  (ねこ3.7匹)

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アーロン・エルキンズ著。嵯峨静江訳。ミステリアス・プレス文庫。

 

アラスカの氷河で発見された一片の人骨から、意外な事実が判明した。30年前に遭難したとされていた調査隊員は、実は殺されていたのだ。骨の鑑定にあたったギデオン・オリヴァー教授は、FBI捜査官のジョン・ロウとともに事件の再調査を開始した。だが、その直後に新たな殺人が…。厳寒の地で深まっていく謎にスケルトン探偵が挑む、人気シリーズ第5弾。(裏表紙引用)

 


今月のスケルトン探偵。裏表紙では第5弾となっているが、実質第6弾では?と思っている。あとがきには6弾とあるし。そしてこの作品から数えて以後5作はハヤカワ文庫からは出ていない。よってミステリアス・プレス文庫が初めて私の本棚に並ぶのであった。あんま好きじゃないんだよね、このレーベルの背表紙デザイン。

 

というわけで今回のギデオンはジュリーの仕事の関係でアラスカへ。ジュリーといちゃつくことしかやることがないギデオンだが、自身が尊敬する科学番組解説者・トリメインに出会い歓喜する。彼は30年前起きた氷河遭難事故の唯一の生き残りで、そのことを本にして発表するために関係者を引き連れやって来ていた。そしてその調査中、当時行方不明となっていたと思われる男性の骨が発見されるのだが…というお話。

 

だんだん分かってきた。このシリーズはだいたい内容が同じだということが(笑)。ギデオンが古い骨を調査する→ギデオン余計なことに気づく→新たな殺人発生→ジュリーとイチャイチャ→ギデオンの推理がいいとこまでいく→ギデオン襲われる→どこからか証拠が出てきて大団円、この流れはもう鉄板なのだな。今回はジュリーとFBI捜査官のジョンもいいところまで推理するし、引退した人類学者とかも出てきて賑やか。容疑者全員キレてるし。全体的にこれと言って特筆する良さはないが、安定した面白さ。ハイライトは襲われたあと「尺骨の端は上腕骨の骨質内側下顆に神経が通っているが心配することはないと俺の大脳辺縁系の情動をつかさどる脳幹組織が叫びうんぬん」と1人で脳内講義を始めるギデオンさんだな。相変わらずで嬉しいよ。