すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

短篇五芒星  (ねこ4匹)

イメージ 1

 

「許せないんだよ」「りゅ、ふう、…っぐ、りゅう、流産が」。二十七歳の春、突然流産のことが気になりだした僕。理不尽な赤ちゃんの死が高頻度で起きることに怒り、妄執する男を描いた「美しい馬の地」。他「アユの嫁」「四点リレー怪談」「バーベル・ザ・バーバリアン」「あうだうだう」収録の奇跡の短篇集! (裏表紙引用)

 


舞城さんの文庫新刊。五篇の、どれもちょっと短篇としては短めの作品が収録されている。紙質も厚めだし、それぞれの作品の文字フォントは違うしで凝った作り。内容はいかにも舞城節炸裂なぶっ飛び系なのだが、短めということもあっていつもよりあっさりめ。

 

「美しい馬の地」
ある日から突然、流産が許せなくなってしまった青年のお話。明けても暮れても流産のことばかりを考え、調べ続ける青年にウンザリした恋人にも振られ、同窓会では流産経験のある女性にとんでもない演説をぶちかますという最高にうざい男。本投げたくなるくらいうざかった。。。男であるお前の言い分なんて知らんがな!って感じ。でもあとあと読み返したくなるこの魔力。本来、こんな話絶対受け付けないのだけど。

 

「アユの嫁」
姉が嫁いだのは「鮎」だったという奇妙奇天烈なお話。鮎の夫くん、挨拶に来たら人間に擬態しているので結局なにがなんだか。私のことを決め付けている、とキレる姉の主張がなんだか一篇目のお話と通ずるな。子どもが出来てしまってからの顛末がよくわからない。。。

 

「四点リレー怪談」
四人で真っ暗な部屋をリレーして行ったら1人増えてたという有名な怪談。これをいかに変則的に考え謎を解くかというこれまた「だからどうした?」なお話。ヘンな探偵出てくるしここまで来るとついていけなかったりする。。。

 

「バーベル・ザ・バーバリアン」
なんか聞いたことあるタイトルだな^^;あだ名が「鍋うどん」という男が出てきたり「バーベル」という男が人に持ち上げられたりする話(笑)。これもよくわからんな。黒髪のイケメンがダメで海外を転々とするくだりは笑ったけど。

 

「あうだうだう」
あうだうだう、という神様のお話。語り手のハルエが付き合い始めた男の金ヅルにされていくところが嘆かわしいな。あうだうだうを退治したらなんとかなりそうな気もするのだがそれをやったらいかんらしい。。。


以上。一篇目と五篇目が特に好きかな。二篇目は設定は好きだったのだけどオチが物足りない。とんでもない題材ばかりだし、初めて舞城作品を読んだ人は怒ってしまうのでは?という作品もありそう。私も一篇目ではプルプル震えた。とはいえ流産だのアユだのいうのは所詮物語の道具なので、描きたいことは一貫しているのではないかと感じるのだけどね。