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緑の我が家  (ねこ3.8匹)

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小野不由美著。講談社X文庫。

 

浩志は、父親の再婚をきっかけに家を出た。壁に囲まれた路地を入り、「緑の扉」を開いた浩志を迎えたのは、高校生の一人暮らしには充分な広さの部屋と、不可解な出来事。無言電話、奇妙な落書き、謎の手紙etc.そして、「出ていったほうがいいよ」と呟く和泉少年の言葉が意味するものは……。嫌がらせ?それとも、死への誘(いざな)い!?――怖い――。しかし浩志の家は、もはやここしかない!息をもつかせぬ本格ホラー。(あらすじ引用)

 

 

小野不由美さんのホラー作品に初挑戦。本書はジュブナイルだが大人でも読むに耐える、完成度の高い作品となっている。

 

主人公は高校生の浩志。母の死、すぐの父の再婚という荒波に揉まれ、「ハイツ・グリーンホーム」という集合住宅で1人暮らしをすることになった。しかし当のハイツは住人が皆暗く感じも悪い。挙句は浩志の郵便受けに血痕のついた手紙が届いたり無言電話がかかってくるのだが――。というお話。極めてシンプルだが玄関に黄色いチョークで不気味な落書きをする子どもの存在がとても不気味だし、浩志がかつて関わったいじめられっ子「オサル」のエピソードが恐怖を煽る。玄関からどんどんハイツ内に侵食していく子どもの落書きが本気で怖い。。。自分の部屋の前までその落書きが進んで来たらってところがもう。

 

ホワイトハートらしく、ホラーながらもラストは切なく爽やか。小野さんのホラーってこんなにいいのか。同レーベルから他にも作品が出ているようなので是非読みたいと思う。「過ぎる十七の春」とか面白そう。