すべてが猫になる

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断崖の骨/Murder in the Queen’s Arms (ねこ3.8匹)

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アーロン・エルキンズ著。青木久惠訳。ハヤカワ文庫。

 

楽しいはずの新婚旅行がだいなしだった。新妻のジュリーとイギリス南西部の風光明媚な地を訪れたギデオン・オリヴァー教授は、またもや事件に巻き込まれてしまった。見学先の博物館から貴重な先史人の骨が盗まれ、続いて旧友が発掘中の遺跡で殺人事件が起きたのだ。ギデオンは調査を進めるが、やがて死の危機に…骨を手がかりに事件を解決するアメリカの名高きスケルトン探偵が、伝統の国イギリスで複雑な謎に挑む会心作。(裏表紙引用)

 

 

ケルトン探偵シリーズを久々に。1作目の邦訳が出ていないのとハヤカワの刊行順が時系列ではない?のとでややこしいが、本書は第3弾ぽい。自分が読んだのは4作目→2作目→本書ということになるので流れとしてはそれほど混乱しなかった、かな。ギデオンとジュリー新婚旅行中だし。今回ホントに新婚バカップルのアツアツぶりにあてられてしまった。ジュリーがギデオンに宛てたラブレターここに晒してやろうかホントに^^;仲良しでよろしゅうございますが、ベッドシーンで「きみの頚静脈窩はダントツに愛らしくてセクシーだ」と言われたくはないぞ。

 

今回の事件らしい事件or問題は3つ。考古学教授であるギデオンの旧友・ネイトが「ウェセックス文化はミケーネ人が自らイギリスに持ち込んだ」と主張し(よくわからんが^^;)古遺物研究協会とやり合っている問題、考古学博物館から貴重な「三万年前の頭蓋冠頭頂後部片」(?^^;)が盗まれた事件、ネイトの発掘チームがいるストーンバロー・フェルで、ギデオンに秘密の話を打ち明けようとした学生が殺される事件。この3つがどう結びつくのか、動機は何かが読みどころ。1つずつ謎が解けていく様は非常に面白いのだが、色々と唐突感があったかも。ギデオンの「閃き」が事件を解決に導くと言ったらいいか。その点では物足りない面もあったのだが、学者やその卵というのは1つのことに夢中になれる幸福を持つと同時に哀れでもあるなあと感慨に耽ってしまった。だからなのか嫌われ者のネイトは私それほど性格が悪いとは思わなかった。ということでこのシリーズ読みたい熱が再燃してきたのでペース上げよう。