すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

はるひのの、はる  (ねこ4匹)

イメージ 1

 

大きくなったユウスケの前に、「はるひ」という名の女の子が現れる。初対面のはずなのに、なぜか妙に親しげだ。その後も「肝試しがしたい」「殺人の相談にのって」と無理難題を押し付ける。だが、ただの気まぐれに思えた彼女の頼み事は、全て「ある人」を守る為のものだった。時を超えて明らかになる温かな真実。ベストセラー「ささら」シリーズ最終巻。(裏表紙引用)

 


文庫とっくに出てたの知らなかった^^;このシリーズ大好きなのに、不覚。「ささら さや」シリーズも遂に最終巻になってしまったのか。。。やはり第一作のさやさんの存在が大きすぎる。さやさんの息子のユウスケ(おっきくなった!感動(T ^ T))が今回は主人公となって、時間を越えて繰り広げられる人間模様。起きてしまった事件を起きなかったことにするために、大事な人を守るために多くの人がユウスケと関わっては離れていく。そして出会う人は必ず過去に会った誰かと似ている。死者がおどろおどろしい存在として描かれていないので、終始不思議で優しい雰囲気。

 

イジメを受ける少女や心に傷を負った漫画家など、人生に躓いた人がたくさん出てきて、困難を乗り越えて行く。運命を操作しなくてもそうなったのかどうかは分からないけれど、本当に、ちょっと魔が差して足を踏み外しただけならばこういう物語もあっていいと思った。

 

やはり、辛いことを乗り越える姿を描いてこそ優しさやあたたかさ、正しさというのは響くのだと思う。加納さんの熱心なファンならば加納さんの身に何が起きたのかは知っていると思うので、終盤の展開では加納さんと小説の人物をダブらせた読者も多かろう。しかし、あの出来事の前にこの物語は完成していたとのこと。だとすれば何か人智の及ばない力が加納さんに働いてこのような物語になったような気がする。でも、そういえば、そうだった。加納さんの物語は最初からずっとこうだったな。