「いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです」これは20世紀最大の文豪、カフカの言葉。日記やノート、手紙にはこんな自虐や愚痴が満載。彼のネガティブな、本音の言葉を集めたのがこの本です。悲惨な言葉ばかりですが、思わず笑ってしまったり、逆に勇気付けられたり、なぜか元気をもらえます。誰よりも落ち込み、誰よりも弱音をはいた、巨人カフカの元気がでる名言集。(裏表紙引用)
カフカと言えば「変身」しか読んだことがないのだけど、彼の日記や手紙がネガティブすぎて面白いらしいので読んでみた。編者の頭木氏は若い頃に大病を患い、その時にカフカのネガティブすぎる手紙や日記を読んで元気づけられたらしい。人間、本当に落ち込んでいる時に「死ぬ気になれば何だってやれるさ!」みたいなポジティブな言葉は胸に響かない、まずは絶望に寄り添って欲しい―そんな気持ちだったそうだ。言われずともまったくその通りで、個人的には私も落ち込んでいる時に夕日に向かって走れと言われても困るほうだ。これは自分に合うかもしれないなと期待も込めて。
しかしカフカは小説家としては天才的だが性格のほうは凡人にはついていけないほど本当に後ろ向きだった。
「床の上に寝ていればベッドから落ちることがないように、ひとりでいれば何事も起こらない。」
暗!!
「ミルクのコップを口のところに持ちあげるのさえ怖くなります。そのコップが、目の前で砕け散り、破片が顔に飛んでくることも、起きないとは限らないからです。」
暗い!暗すぎる!
そして婚約者に宛てたラブレターの内容がこれ。
「ちょっとした散歩をしただけで、ほとんど三日間というもの、疲れのために何もできませんでした。」
弱!!!