すべてが猫になる

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高校入試  (ねこ2匹)

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湊かなえ著。角川文庫。


県下有数の公立進学校・橘第一高校の入試前日。新任教師・春山杏子は教室の黒板に「入試をぶっつぶす! 」と書かれた貼り紙を見つける。迎えた入試当日。試験内容がネット掲示板に次々と実況中継されていく。遅れる学校側の対応、保護者からの糾弾、受験生たちの疑心。杏子たち教員が事件解明のため奔走するが……。誰が嘘をついているのか? 入試にかかわる全員が容疑者? 人間の本性をえぐり出した、湊ミステリの真骨頂! (裏表紙引用)



湊さんの文庫新刊。

進学校の入試の裏側と、それを潰そうとする謎の掲示板との同時進行で進む物語ということで、面白そうかなと思ったが。ほとんどの登場人物が教師なので人物紹介があっても何の参考にもならず、最後の最後まで誰が誰だか分からなかった。というより、理解するのを放棄したと言ってもいい。

試験をどう潰そうとするのか、犯人は誰かがこの物語の読みどころだと思うが、その「潰そうとする方法」に全くリアリティがなく、さらにその動機があまりにも幼稚で一片の同情も芽生えない。試験中に携帯電話を鳴らす女子生徒の浅はかさ、ルールを守れない親の勝手な言い分。どれもこれも不快極まりないやり取りばかりでうんざり。犯人の正体はもとより、思考回路がまるで子どもな大人のご都合主義解決が一番残念だった。

面白くないわけではないのだが…。ドラマのノベライズ「らしくなさ」が合わなかったかなあ。湊作品ではワースト1になりそう。