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奇妙な道/Strange Highways (ねこ3.6匹)

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ディーン・クーンツ著。田中一江訳。扶桑社ミステリー文庫。

 

酒におぼれる人生の敗残者ジョーイ。ある日彼に、父親が死んだとの知らせが届いた。驚いたことに父親はジョーイに巨額の遺産を遺しているという。いぶかりながら故郷に向かう彼が車を進めた道のその先は…サスペンスホラー長編「奇妙な道」。ハロウィーンの日、少年は不思議なかぼちゃ売りに出会った…幻想恐怖短編「ハロウィーンの訪問者」。SFから異色ハードボイルドまで、三十年にわたる最強ベストセラー作家クーンツの軌跡を集成した唯一無二の傑作集『ストレンジ・ハイウェイズ』ここに登場。(裏表紙引用)

 


うん、なかなか良いのでは。表題作である長編と、「ハロウィーンの訪問者」の短編、計2作が収録されている。ノリにノっている頃のクーンツ作品なのかなー。ザ・B級。

 

表題作は、ホラーSFと言ってもいい作品。最初の数十ページはネガティブ思考の主人公が自分を卑下しまくりーのデキる兄への劣等感出しまくりーので父の埋葬をやるという出だしで退屈極まりなかったが、
いわゆる〈奇妙な道〉に入ってから時代が戻り、ジョーイがまだ未来への希望を持ち事故も起こしておらずアルコール中毒にもなっていなかった頃に舞台を移す。そして車の故障がきっかけで出会った大学の後輩、セレステが登場する。現代で起こったことになっている恐ろしい殺人事件をいかに解決するかに尽力を尽くし、犯人の正体におびえながら対決する展開となる。

 

まあセレステが時間移動に対する理解が早すぎるのでビックリするのと、クーンツらしく天候が悪い中恐怖の犯人と決死のバトルを繰り広げられるというベタがベタを呼んだような展開。’クーンツ作品は必ずハッピーエンド’の例に漏れずなのだが、いくらなんでもご都合主義すぎたかなあ。

 

続く「ハロウィーンの訪問者」。これもなかなかのザ・B級っぷりを発揮。不気味な男の作ったジャックオランタンを安値で買ったフランクの身に起きた恐怖ってところ。主人公は弟なのだが。まあ単なる不思議な化け物に襲われましたウワーってだけじゃなくて、弟の心の闇に絡めたあたりが良いね。どちらも好みのタイプの作品だった。ちょっと子ども騙しっぽいけど。