すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

高原のフーダニット  (ねこ3.6匹)

イメージ 1

有栖川有栖著。徳間文庫。

 

「先生の声が聞きたくて」気だるい日曜日、さしたる知り合いでもない男の電話。それが臨床犯罪学者・火村英生を血塗られた殺人現場へいざなう一報だった。双子の弟を殺めました、男は呻くように言った。明日自首します、とも。翌日、風薫る兵庫の高原で死体が発見された。弟と、そして当の兄の撲殺体までも…。華麗な推理で犯人に迫る二篇に加え、話題の異色作「ミステリ夢十夜」を収録!(裏表紙引用)

 

 

火村シリーズ第20弾。3編収録の短編集。

 

「オノコロ島ラプソディ」
昭和っぽいタイトル^^;淡路島のオノコロ島で起きた殺人事件を火村とアリスが解決するお話。トンデモトリックなのに淡々と説明する火村さんが相変わらず。。。こういうのキライじゃないけど、見間違えた観音様が一体なんだったのか、を期待していたので「あ、そうなの^^;」という感想になった。これぐらいのトリックでは微動だにしなくなった自分がせつない。

 

「ミステリ夢十夜
夏目漱石の「夢十夜」のパスティーシュ?らしい。原典を知らないので比較は出来ないが、アリスが見る火村さんの夢あれこれ、ってことでいいかな(笑)。SPばりに銃を撃つ火村さん、福男レースに参加する火村&アリス、極めつけは「たそがれ仮面」(笑)。

 

「高原のフーダニット」
「風谷人」でフーダニットと読ませる喫茶店面白いね。こじつけヒドイけど。まさに犯人当てがメインの双子殺人事件もの。色々と人物関係がややこしい。ラスト、火村さんが普段と違う行動に出るのが見どころかな。

 

以上。まあ、普通に楽しめるのではないかと。真ん中の異色作を除けばそれほど語ることもなしの安定したミステリ。2人さえ出ていれば満足なファンも、ちょっとこのシリーズ初めてなんだけど読んでみようかなという人にも本書なら大丈夫。何より、タイトルと装丁がカッコイイ。