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片桐大三郎とXYZの悲劇  (ねこ4匹)

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この一冊で、エラリー・クイーンの〝X・Y・Zの悲劇〟に挑戦!

聴覚を失ったことをきっかけに引退した時代劇の大スター、片桐大三郎。古希を過ぎても聴力以外は元気極まりない大三郎は、その知名度を利用して、探偵趣味に邁進する。あとに続くのは彼の「耳」を務める野々瀬乃枝。今日も文句を言いつつ、スターじいさんのあとを追う! 

「ドルリー・レーン四部作」を向こうに回した、本格ミステリー四部作をこの一冊で。
 殺人、誘拐、盗難、そして……。最高に楽しくてボリューム満点のシリーズ連作。(紹介文引用)

 


倉知さんの大ファンであると同時に、わたくしエラリー・クイーンの、そしてドルリー・レーンシリーズの大ファンであった。別に自慢ではないが、大抵の読んだ小説の内容は軒並み右から左へ忘れてしまうわたくしがまだ内容を覚えているくらいだ(Z以外)。

 

というわけで、ほぼパスティーシュと言っていいほど原作に準拠したキャラクター設定と事件のあらましにテンションは上がる。内容はコミカルでキャラも立っているし、倉知さんらしさが出ていて良かったと思う。連載ものだから仕方ないんだけど、大三郎の歴史みたいなのがイチイチ挟まるのが鬱陶しいこともあったけどね^^;

 

一話目の山手線の殺人事件はすいません、東京住みじゃないんでややこしくて仕方なかった^^;乗り換えとか路線言われても全然ピンと来ないや。つか、日本の勤め人って、そういう無差別殺人が車内で起きても変わらず通勤し続ける気がするんだけどね。「自分にはそういうことは起きない」病というか。それでも休めないというか。

 

二話目のウクレレ撲殺事件は特に感想なし。話題になっている三話目の凶器については、かなり早い段階で気が付いてしまい。。。なんというか、倉知さん、どうしたの?というぐらいえげつない真相。もうその映像が頭に浮かんで吐き気がする。。。この作品があるのとないのとで世間評価は変わってしまうと思うが、ランキング系はこういうの好まれそうな気がするからコワイ。

 

1番感心したのは最終話かなあ。原稿の盗難という、あまりそそられない事件だったし大三郎がそれほど出て来ないなーと思って。まさか原作通りの真相じゃないだろうなと思っていたら、まさに引っ掛けられた感じ。ミステリで騙されるとスカっとするね。途中まではそれほどだったけど、この最終話でかなり評価が上がった。


以上~。原作知らない人にもちろん楽しめるけれど、知っているほうがいいかどうかは分からない。私は、逆にそれが仇となってしまったような。。結構内容が原作のネタバレになっていたし、「途中まで分かってしまう」からその分楽しみが削がれた感。でも分かっているからこそミスリードされたりしたしな~。まあ今更これキッカケに古典を読もうなんて人はあまりいないだろうから、そこは一長一短だとだけ言っておく。一つの作品としてなら、もちろん読む価値アリ。