陽気なギャング一味の天才スリ久遠は、消えたアイドル宝島沙耶を追う火尻を、暴漢から救う。だが彼は、事件被害者のプライバシーをもネタにするハイエナ記者だった。正体に気づかれたギャングたちの身辺で、当たり屋、痴漢冤罪などのトラブルが頻発。蛇蝎のごとき強敵の不気味な連続攻撃で、人間嘘発見器成瀬ら面々は断崖に追いつめられた! 必死に火尻の急所を探る四人組に、やがて絶体絶命のカウントダウンが! 人気シリーズ、九年ぶりの最新作! （裏表紙引用）
陽気なギャングシリーズ、まさかの新作。９年ぶりということにビックリ。再読してないからほんとに９年ぶりに触れるシリーズということになる。全然覚えていないが、ウソ発見器の成瀬、天才スリの久遠、演説の達人響野、正確な体内時計を持つ雪子。ハイハイ、思い出しましたよ。
今回銀行強盗をするシーンは冒頭だけ。あとは、彼らが巻き込まれた事件を解決していく物語に終始している。相変わらずの人を喰ったセリフ回しとコミカルさでテンポよく進んでいく。下世話な記者の火尻の記事の影響で自殺したり不幸になったりした人々が、火尻に復讐しようと画策する――そんな物語なのだが、この火尻がまあほんとに下衆の中の下衆。この男、同じような目に遭って地獄を見ればいいのに、と強く念じながら読んでしまう。
昔はこういう犯罪者を愉快に描いたものに苦手意識があったのだが、９年も経てば人間変わるね。普通に受け入れて楽しく読めた。銀行強盗たちの持つ非現実さと無責任さに正義感の押し付けを感じないからだろうか。どう見ても正義のヒーローなんだけどね。
