引き裂かれたふたりの世界。転落事故に遭い姿を消した妹を探す健一。隔離された学園に囲われる少女、アヤコ。選ばれし、美しき子供が暮らす洋館での殺人事件。この結末は、予測不能―!!著者渾身の「実験的」長編ミステリー誕生。 (紹介文引用)
浦賀氏の新刊は、なんと単行本。浦賀氏が単行本で出したことあったっけ?記憶にない。ということで、表紙といいタイトルといい、オッサレ~な雰囲気漂う力作。タイトルが二重になっているのは、エネルギー関連企業社長の息子・健一が転落事故で意識不明となった異母妹・彩子を探しにハーフウェイ・ハウスへ向かうお話と、そのハーフウェイ・ハウスで暮らす「アヤコ」視点のお話それぞれにタイトルがついていると考えて良い。この2つの物語がいかに交錯するのか、がこの小説の読みどころ。
ネタは割れないが、またしても浦賀氏らしいトンデモミステリといえる。ハーフウェイ・ハウスとは一体何か、アヤコたちは何者なのか、そしてハウスで起きた殺人事件の真相は。アガサ・クリスティの小説をモチーフに、様々な小道具を絡めて真相が解き明かされる。やはりその読ませる文章は単行本でも健在しており、最後まで読者を引っ張る力がある。浦賀氏にしては「実験」の度合いが低い気もするが、仕掛け本としてはまずまずだろう。