すべてが猫になる

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死の演出者/The Way We Die Now (ねこ3.5匹)

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マイクル・Z・リューイン著。石田善彦訳。ハヤカワ文庫。

 

あなたの料金を聞かせて。暇を持て余すわたしに、ひさしぶりに依頼が舞いこんだ。殺人罪に問われた娘婿を助けてほしいという。母親の横柄な態度にはうんざりしたが、夫の無実をひたむきに信じるその娘に心をうたれ、わたしは調査を始めた。だが、関係者の証言は夫の立場に不利に働き、やがてわたし自身も事件の裏に潜む陰謀の渦中に。探偵サムスンの寡黙な知性が醜怪な人間性を暴きだす、人気シリーズ第二弾。(裏表紙引用)

 


リューイン4冊目。アルバート・サムスンシリーズ第2弾~。

 

今回は、まだ前回の傷が癒えていないが時間だけはあるという感じで登場するサムスン。久しぶりに引き受けた依頼は夫の冤罪を晴らしてという種類のものだった。横柄な母親にうんざりしながらも引き受けたのは、娘が気に入ったからだろうな^^;やる気が出て来たのは被害者が同業だったのもあるかな。

 

冤罪と言っても、その夫が銃で撃ったのは間違いないので、「真犯人は誰!トリックは一体!?」というような派手なものではない。だが、どうして精神病を患ったことのある男を警備員として雇い、銃の携帯までさせたのか。警備会社の社長が私立探偵を毛嫌いするのはなぜか、などなど、謎は尽きない。

 

ミステリーとしては特にこれといった意外性もなんもないし、依頼された娘とロマンスがあるわけでもない。ユーモアのある文体が、ハードボイルドというジャンルを軽妙に読みやすくさせてはいるが、逆に言うと「余計な文章が多い」である。淡々としながらダラダラ続くこのリズムと雰囲気、キャラクターを気に入れば特に苦痛となるような箇所はない。