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聯愁殺  (ねこ2.8匹)

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西澤保彦著。中公文庫。

 

晦日の夜。連続無差別殺人事件の唯一の生存者、梢絵を囲んで推理集団“恋謎会”の面々が集まった。四年前、彼女はなぜ襲われたのか。犯人は今どこにいるのか。ミステリ作家や元刑事などのメンバーが、さまざまな推理を繰り広げるが…。ロジックの名手がつきつける衝撃の本格ミステリ、初の文庫化。(裏表紙引用)

 


多作な西澤保彦ファンである私も36冊目ともなればそりゃ気に入らない作品もあろう。ということで、本書はノンシリーズもの。あるOL(梢絵)が自宅マンションで暴漢に襲われるが一命を取り留め、犯人は行方不明。4年後、梢絵は作家や医者、元刑事などの推理力に長けた人々が集まる場所へ招待される。1人1人がそれぞれの推理を開陳していくが果たして真相は――。というお話。

 

簡単に言うと、もろアントニイ・バークリー「毒入りチョコレート事件」そのものの構成である。とにかく延々、代わる代わる推理を語り検証していくだけの物語なのでかなり退屈だ。しかも梢絵があまり性格のいいタイプとは言えず、心の声の1つ1つにイライラすることも。人々はそれぞれ個性的だが魅力がない。

 

まあそう思って読んでいたら、最後に驚きの真相が待っているという仕掛け。これは好き嫌いが分かれるだろうなあ。猟奇もの+西澤作品ということで、らしいと言えばらしいが。後出しの情報が多く、論理的に読者が解答を導き出すのは困難ではないかな。まあ結末は不愉快ながら面白かったのだが、いかんせん物語そのものがつまらなすぎた。西澤氏じゃなかったら投げ出していたかも。ちなみに解説は氷川透氏です。氷川さん好きそうだなあ、こういうガチガチ本格^^;