児童福祉施設の保育士だった美佐江が、自宅アパートで25歳年下の夫と焼死した。その背景に、女の姿が浮かび上がる。盗み、殺し、火をつける「アイ子」。彼女の目的は何なのか。繰り返される悪行の数々。次第に明らかにされる過去。救いようのない怒りと憎しみとにあふれた女は、どこからやって来たのか。邪悪で残酷な女の生を、痛快なまでに描き切った問題作。(裏表紙引用)
久々に桐野さんを。短篇集かと思って読み始めたら長編だった。。。
桐野さんらしい、ドロドロ~とねちねち重い女性の悲惨な人生を描いた作品。基本的にはアイ子という置屋で育てられた娘が殺人鬼となっていく過程を描いているが、出てくる登場人物の100%が重苦しく痛々しい。保育士と25歳年下の夫の関係が最早おぞましい。赤ちゃんプレイはやめろ(´Д⊂。第2章だけ出てくる養育家庭の夫も女装してお葬式行くし、そこで話しかけられた、昔預かっていた男性もなぜか女装してるし^^;このくだり、一体なんだったの。。
ミステリというよりは人間ドラマなのかなあ。犯罪者の中には悲惨な状況で育った者もいるわけで、アイ子は絵に描いたような「環境が人間を作った」タイプ。でも、明かされる生い立ちを聞くと生まれつきなのかな?と思わせるものも。こればっかりはもうわからない。可哀想としか言葉が見つからない。本当は真っ当になりたいんだろうなあと思わせるシーンもあるが、人間ここまで堕ちたらもう這い上がれないようになっているんじゃないだろうかな。