柚木麻子著。幻冬舎文庫。
14歳で作家デビューした過去があり、今もなお文学少女気取りの栞子は、世間知らずな真実子の憧れの先輩。二人の関係にやたらイラついてしまう美人で頑張り屋の美里は、栞子の恋人である大学教授に一目惚れされてしまう―。名門女子大を舞台に、プライドを持て余した女性たちの嫉妬心と優越感が行き着く先を描いた、胸に突き刺さる成長小説。(裏表紙引用)
初読み柚木さん。全くどんな作風かもわからないままにタイトルと表紙が面白くて選んでみた。まあとにかく出だしの栞子の人物造形にゾワっとして、実は一度挫折^^;だってだって。14歳でコネで詩集を出して(これはまあいいとして)、でももう何の才能もなくて、でも自分は特別と思いたくて心酔してきた後輩の真実子にどこまでもカッコつけて。肺が弱いと言われても煙草を消すどころか顔に吹きかけたりするし。そしてキモイ若はげ教授と付き合ってるし。。それで特別美人でもスタイルが良いわけでも服装センスがいいわけでもなく。あーーーーもーーーダメだぁ読んでられん!と早々にリタイア。でも気になってまた引っ張り出してきた。
とにかく付き合う男が三人出てくるのだけれど、どれも最悪!ピカソの絵に涙を流した栞子の涙を舐めとったぁ!?(°д°)ォエ~~ 次の男はお坊ちゃん風だけどゲーム廃人の人格破綻者だし、次の男は写真家もどきの勘違い幼稚男だし。何より、カッコつけるため、自分の存在価値のために男と付き合う根性がキモチワルイ。。。
そんな栞子も栞子だけど、後輩の真実子もどうかと思う。こんなハリボテの女性にここまで盲目的に心酔するとか、世間知らずを通り越して不気味。何を言っても聞かないし。そのくせ、元彼との生々しい経験を軽く語ったり。まあでも、努力家で吸収が早いってところは欲しい能力だったけども。
そして栞子の友人・美里。こちらは陰の語り手と言っていいかも。彼女だけは栞子のおかしさをすぐ見抜いていて、真実子を諭したりなだめたり。きっぷのいい性格なので、イライラする読者の代弁者といったところか。と言ってもこの人も「1番まし」というだけで、しんどい性格であったことは間違いない。
ところで、成長したのは誰だったのかな?^^;真実子は目を疑うほどの変貌を遂げたが。てか、こんな都合のいいシンデレラストーリーってあるんだろうか。最後の栞子と真実子の再会も、スカっとするのかもしれないし実際まあ少し溜飲が下がったが、こういうことじゃないんじゃないかなあ、とも。最後の真実子のセリフは、立場が逆転したことを表現したのだろうけれど、私、そこ従う必要ないんじゃないかと思ってしまった。賛否両論だろうけども。
と、いうわけで、イライラしっぱなしだったけれどほぼ一気読み。女同士の確執とかドロドロ、っていうのともちょっと違う、独特のキャラ付けが個性的な作家さんだなと。こういう小説はあまり読んだことがないのでハマりそう。これ1冊で引き込まれてしまった。色んな作風のものがありそうだけど、次はどれがいいかなあ。