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たまさか人形堂物語  (ねこ3.5匹)

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津原泰水著。文春文庫。

 

祖母の形見の零細人形店を継ぐことになった澪は、押しかけ従業員で人形マニアの冨永くんと謎の職人、師村さんに助けられ、なんとかお店を切り盛りしている。「諦めてしまっている人形も修理します」という広告をみて、今日も傷ついた人形を抱えたお客さんがやってくる。人形と大事な思い出を修理すべく澪たち3人の活躍が始まる。(裏表紙引用)

 


え~~っ!!これ、もったいなぁ~い!雰囲気凄くいいのに!描き方次第で名作になったのに!(><)
表紙も全然世界観表せていないしもったいなさすぎて涙出てくる(´;ω;`)。

 

と、いうわけで久々の津原さんの短編集を。
人形に関しては素人の経営者、澪の人形店には、優れた従業員がいる。どんな人形も修理出来る師村さんと、人形マニアの富永くんだ。この2人と澪さんのつかず離れずの、経営者なのに澪さんの保護者みたいな関係の従業員2人がとてもいい。人形に関する知識、修理のノウハウも「ちょ、ちょっと分かんない^^;」というぐらい細部まで描かれているし、やって来るお客さんも、その依頼内容もファンタジック。
ダッチ○イフまで出てくるあたり津原さんらしいな、と思うがイヤらしい方向に行かないのがまたいいなー。

 

残念なのは中盤から。師村さんたちの素性や過去が明かされていくのはいいんだが、奇を衒いすぎたのでは?という作品も。物語として成立し損ねているというか。そこから澪さんがある重大な決断をして物語は動き出すのだけれど、駆け足すぎて感動する前に終わってしまった。ページ数の短さがそうさせるのだろうけれど。あーもったいない。本当にもったいない。でも続編があるようなのでそちらで払拭されているといいな。