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本棚探偵の回想  (ねこ5匹)

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あるときは、出版状況の日本を救うために、五万円を握りしめて本屋へ向かい、またあるときは自分の趣味全開のアンソロジー『女の足』を編んでみる。好評の古本エッセイ第2弾は「本の雑誌」が選ぶ2004年ベスト10で堂々の第3位!映画監督、故石井輝男氏との対談「アブノーマルな乱歩世界を極める」も特別収録。

 


喜国さんの爆笑古本エッセイ第2弾。メンドくさいので同じ点数にした。だって面白さは全然変わらないんだもん。

 

今回も面白い企画がてんこ盛り。好評だったポケミスラソンの続編(?)、古本街の全ての古本屋に入ってルール通りのミステリを必ず買うとか(笑)。古本と言っても色んな専門があるのね。浮世絵専門とかこけし専門とか(笑)。あと、出版不況を救うために新刊書店で5万円買うとか。これは私もやったことあるわよ。3万円だけど。全部同じ店でだけど。1番好評だったという、「月長石」の話も最高だったなー。大昔挫折した分厚い海外ミステリを読み切ることを目標とする1日。電車に乗ったりジムで読んだりと色々やってます(笑)家より読書が進むっていうのは本当によく分かる。部屋にいると、テレビだのなんだの他に誘惑がいっぱいあるからねえ。私、仕事やめてた時期、20日間くらい毎日朝9時から17時まで図書館にいたことがある。2、3冊読めますよ。ミステリじゃなくて児童書とか村上春樹とか村上龍とか読みやすいものばかり読んでたけど。

 

まあ全部書いちゃうと無粋なので内容は読んでご確認を。本当に全部面白いので。

 

私も古本収集に全く興味がないわけではない。楽しそうだなと思う。しかし、「読む」が信条の私から見れば到底真似の出来るエリアではないのだ。読んでいない本をマイ本棚に並べても所有欲が満たされないというこれは単なる私の性格だけの問題。(批難しているわけではない。素晴らしい装丁の本を眺めて触って飾るために買うという価値観もアリだと本当に思っている。喜国氏の乱歩などへの知識や情熱は、私なんぞには到底太刀打ちできない尊敬すべき要素でもある。)そういう方から見れば、乱読の私に対してまた一家言あろうしね。

 

そんな中、「あとがき」に興味深いご意見があった。図書館で見かけた仲睦まじい本好きそうな親子。その会話と様子から、子どもは図書館に来るたびに5冊借りては読んで返しているのだろうと推察。大人ならそれでいいが、読んですぐ返す本は果たしてその子の血肉になっているのか?という言葉だ。全くもってその通りだと思う。もちろんその1シーンだけで決め付けることは出来ないが、子どもの頃、同じ本を何度も何度も繰り返し読み、内容を完全に覚えたその本はいつしかその子の宝物になっていくというエピソード。もちろん私もそうだった。今でもその挿絵や文章を記憶している本がいくつかある。

 

そういう訳で、自分と相容れない要素がありながらこのエッセイを愛してやまないのには、自分の中にあるオタク要素と相通じるものがある点が多いから。買うためのルール作りやこだわり、本の並べ方など、こだわっても誰も気づかない、しょーもない部分。本に限らず、自分にもそういうところが少なからずあるから(そしてそういう人はめったにいないから)、「ああ、自分のやっていることはおかしくないんだ」という安心感を得たいがためにこの本をこれからも読むのであろう。