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ソウル・コレクター/The Broken Window (ねこ4.3匹)

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リンカーン・ライムのいとこアーサーが殺人容疑で逮捕された。アーサーは一貫して無実を主張するも、犯行現場や自宅から多数の証拠がみつかり有罪は確定的にみえた。だがライムは不審に思う―証拠が揃い過ぎている。アーサーは濡れ衣を着せられたのでは?そう睨んだライムは、サックスらとともに独自の捜査を開始する。(上巻裏表紙引用)

 


リンカーン・ライムシリーズ第9弾~。

 

今回は、ネットや個人情報保護にまつわる落とし穴や知識を悪用した犯罪者が登場する。リンカーン・ライムのいとこが殺人事件の犯人になるという驚きの内容。ライムのいとこであるアーサーは虫も殺せない性格なのだが、幼い頃からライムとは色々な確執があるのだ。ライムの過去の恋愛とか、身体が不自由になる前のエピソードって新鮮というか、ドキドキするなあ。今回は、サックスとの結構際どいラブシーンも挿入されているし、ドキがムネムネなシーンが多くてファンにはたまらない。おなじみロンやメルといった(このコンビ大好き)チーム・ライムもそれぞれ活躍。結構二人とも、ヒドイ目に遭うんだけどね^^;プラスキーやいつも「ひぃ。すいません」と言ってる奴(名前忘れた)とかも好きだなあ~。

 

事件のほうは、ネット用語?専門用語が凄いことになっているので、ライムやサックスですらちんぷんかんぷんなところがある様子。しかし個人情報の、何ページにも及ぶ「目次」にはびびった。借りた本とか勤務先とかならまだいいけど、ネットでいつ何のサイトを見たかとかどこで何を買ったかとかまで知られてたら私は舌を噛むわ^^;この犯罪者は、今までで一番「凄い」「いやらしい」犯人なのかもしれないな。冤罪だけならともかく、人間のデータを自由自在にされたら。。。と思うと無敵な感じがするもの。

 

それでも、コンピューターに征服されてたまるもんかという信念がライムチームから窺えるのが素敵。結局事件を解決に導いたのは人間の洞察力と推理だってところ。サックスはまたしてもピンチに陥るのだが、「まあ助かるだろう」と思っている読者としては(すまそ^^;)、どう助かるかのほうがミソ。よくあるサスペンスもののように、この主人公は殺される寸前で「助けに来たぞ!」なんてことは出来ないからね。あるキャラクターが言った、「リンカーンこそ信じるべき法制度」という言葉は全くもってその通りだと思う。パムとスチュアートの問題も解決して良かったなー。サックスのアレはちょっと可哀想すぎて泣けたが、ラストでホロリ。ひょっとしてロクな奴じゃないのかな、と思っていたアーサーに泣かされるとはね。

 

そして巻末は児玉清さんとジェフリー・ディーヴァーの対談!がついていてお得感満載。次はキャサリン・ダンスを読むぞ。