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転迷 隠蔽捜査4  (ねこ3.7匹)

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大森署署長・竜崎伸也の身辺は、にわかに慌しくなった。外務省職員の他殺体が隣接署管内で見つかり、担当区域では悪質なひき逃げ事件が発生したのだ。さらには海外で娘の恋人の安否が気遣われる航空事故が起き、覚醒剤捜査をめぐって、厚労省麻薬取締官が怒鳴り込んでくる。次々と襲いかかる難題と試練――闘う警察官僚竜崎は持ち前の頭脳と決断力を武器に、敢然と立ち向かう。(裏表紙引用)

 


久々に竜崎シリーズを。
3.5の悪夢から覚めて久しい今日この頃。この4ではすっかり元のカッコイイ、流されない、正義感あふるる竜崎に戻っている。よかたよかた。息子もすっかり更生したようで何より。娘は彼氏が航空事故に巻き込まれたかもしれない、ということでひと悶着あるが。

 

降格されてからどうなったかと思ったが、竜崎はどこにいても竜崎であった。まず、担当地域で悪質なひき逃げ事件が発生。それは外務省職員殺人事件とどう絡んでいくのか。そこへ麻薬捜査チームが邪魔をするなと乗り込んで来て竜崎と大モメ、などなど、竜崎は相変わらず忙しい。書類にハンコをつきながら、次々やってくる人間や問題を彼らしく片付けてゆく。

 

この物語は完全に、事件云々よりも竜崎がいかに素敵かカッコイイか――だけを描いたシリーズである。全てに論理的で、物事をマイナスに考えず、相手が誰であろうと筋を通し無駄を嫌い、国家のためにあろうとする。その姿は時に融通が利かず頑固一徹にも見えるが、「人間らしくない」といったこういう人格にあるべき欠点を感じさせない何かが竜崎にはある。だからこそ、最初は敵対していた様々な人々が、最後には認めてしまうのだろう。男として、公務員として、同じ目的を持った同士として。女の目から通して見ても、世の中の警察官が全てこういう人だったら、と願わざるを得ない。