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あぶない叔父さん  (ねこ4匹)

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麻耶雄嵩著。新潮社。

 

犯人はまさか、あの人!? 常識破りの結末に絶句する「探偵のいない」本格ミステリ! 四方を山と海に囲まれ、因習が残る霧ヶ町で次々と発生する奇妙な殺人事件。その謎に挑む高校生の俺は、寺の離れで何でも屋を営む人畜無害な叔父さんに相談する。毎度名推理を働かせ、穏やかに真相を解き明かす叔父さんが最後に口にする「ありえない」犯人とは! 本格ミステリ界の奇才が放つ抱腹と脱力の連作集。(紹介文引用)

 


麻耶先生の新刊、新シリーズ。

 

設定は、普通の高校生である寺の次男を語り手に、町で次々起きる事件の謎を解き明かしていくというもの。彼は親戚一同から白い目で見られている「なんでも屋」の叔父さんのことが大好きで、事あるごとに彼に相談や話を持ちかけている。叔父さんは風貌こそ書生のようで怪しげだが、頭が良く、とっても優しい――これが彼の叔父さんの評価。

 

ところがところが。

 

なんだこれは^^;;あぶなすぎるだろう叔父さん。

 

もっとおかしいのは当の次男坊の感性だと思うが。。普通の人が普通じゃないほうが私はあぶないと思うので。1編目で、ああこういう作風ね。と理解すれば後は早い。基本的には全ての短編がまったく同じ方向性に完結するので、最後の最後でどういう仕掛けがあるのか期待しまくったが、残念ながら何もなかった。え、読み飛ばし?私の理解力のなさ?と疑ってしまうぐらい、麻耶さんらしくなく何もなかった。1本1本の短編には敢えて感想を書くほどの意味合いもなかろうし。体裁さえ本格ならば良いのだ。

 

まあしかし、作風や世界観はド真ん中なので評価は上げておいた。難を言えば、語り手の少年がたいして魅力もないのにモテて調子に乗っているところが気に入らない。麻耶さんはいつもキャラに思い入れがないと言い切ってらっしゃったので、そう思うことにそれほどこちらも罪悪感を感じないけれど。続編希望。「あぶない叔父さん 対 名探偵」なんてどうだ。