すべてが猫になる

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ふたり狂い  (ねこ3.5匹)

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真梨幸子著。ハヤカワ文庫。

 

女性誌「フレンジー」の人気連載小説「あなたの愛へ」。その同姓同名の主人公が自分だと思い込んだ川上孝一は、思い余って著者の榛名ミサキを刺してしまう。それに端を発して起こる、デパ地下惣菜売り場での異物混入事件、ネットでの企業中傷事件、そして郊外マンションでの連続殺人―だが、その背後には謎の女マイコの存在があった…。現態人のささやかな狂気と、連鎖する因縁の果てに明かされる驚愕すべき真実とは?(裏表紙引用)

 


8編収録のイヤミス連作短編集。ひとつひとつのお話は独立しているが、登場人物や出来事が少しずつ繋がっている。どのお話も、狂った人々が登場し、イヤミスらしいモゾモゾ感を体験出来る。この作品集の特徴は、どの人物も、狂気と普通のちょうどいいところにいるところではないだろうか。明らかに狂っている人物もいるが、ちょっと前までそうでもなかったのに、ちょっとした事件や気の迷いなどから、徐々に徐々に病んでいくというか。真梨さんのそういうところは現代的で、リアルな表現者だなあと思う。

 

もちろん繋がりは見事だし相変わらず面白いのだが、個人的には、身近すぎるがゆえの「え~?そんな人いるかあ~?」な人物が多かったように思う。例えば職場の休憩時間をすぎてから戻ってくる人なんて私会ったことないし(どこかにはいるのかもしれないが)。。。こんなベタな恋愛小説に働いている女性がここまでキャーキャー騒ぐかな?とか^^;「光こそが愛」って、プププなんですけど(^_^;)狂いすぎていたり知らない世界だったりするとそういうことは分からないのだが、自分と同じような背景、人生の人々を描いているだけに、違和感があったかなあ。