すべてが猫になる

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わたしが幽霊だった時/The Time of the Ghost (ねこ3.7匹)

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歩いててふと気がついたら、あたし、幽霊になってた!頭がぼやけてて何も思い出せないし、下を見たら自分の体がないじゃないの。生垣やドアをすり抜けて家のなかに入ると、だいっ嫌いな姉さんや妹たちが相変わらずのケンカ。誰もあたしのこと気づきゃしない。でも、どうして幽霊になっちゃったんだろう……現代英国を代表する女流作家の、おかしくもほろ苦い時空を超えた物語。(裏表紙引用)

 


1981年に作られたイギリス作家の作品。ちょっと変わったダークファンタジー、といった感じだろうか。いや、実はこれ、数ヶ月前に100ページ程読んで挫折した作品。ダークゾーンを読みきった今の自分なら読めるかと思って(実際その通りになった)再挑戦。なんということか、挫折したページから面白くなっていた。と言っても、訳文がとてつもなく読みづらかったのは私だけではなかったようで、多くの読者が同じ理由で悲鳴をあげていたようだが。

 

このお話は一風変わっていて、ゴーストストーリーでありながら、語り手は終始その幽霊であり、しかもその幽霊自身が自分を誰だか分かっていないのである。四人姉妹のうちの誰かだということだけは分かっているようだが。そして、その四人姉妹のみならず、母親は子育てを放棄、父親はなんだかDVのケがあり、しかも姉妹のうちの1人(幽霊)の彼氏はその彼女を走る車から突き落とし殺そうとしたというとんでもない変人悪人ぞろい。(どうでもいいが、三女の名前が「イモジェン」という。その名前が出てくるたびに、私の脳内では「芋」に変換されてしまって困ったもんだった。)魔女信仰みたいな遊びも始めるし、サーカスの真似事を妹にさせて窒息させるし、てんやわんや。

 

まあなんだかんだ収まるところに収まるのだが、はっきり言ってわけがわからん面白さだった。読みにくさだけはいかんともしがたかったので新訳出してよ。