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三匹のおっさん ふたたび  (ねこ3.9匹)

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剣道の達人キヨ、武闘派の柔道家シゲ、危ない頭脳派ノリ。あの三人が帰ってきた! 書店での万引き、ゴミの不法投棄、連続する不審火……。ご町内の悪を正すため、ふたたび“三匹”が立ち上がる。清田家の嫁は金銭トラブルに巻き込まれ、シゲの息子はお祭り復活に奔走。ノリにはお見合い話が舞い込んで、おまけに“偽三匹”まで登場して大騒動! ますます快調、大人気シリーズ第二弾。(裏表紙引用)

 

 

ドラマ化もされた「三匹のおっさん」、まさかの続編。1作目がすごく面白かった記憶があるので文庫化を心待ちにしていた。結構分厚いのね。あらすじが漫画になってるし(笑)。しかも出版社変わってる・・・?

 

「第一話」
キヨの妻・貴子が精肉店のパートを始めたお話。働いた経験がなくいきなり結婚・出産した貴子は、その周りの見えなさから職場で浮きまくり、居心地の悪い思いをしている。あれだけ浮いてて、それでも辞めようとしないのは単純に偉いなと思った。金銭トラブルもろもろに巻き込まれたあたりはあ~あって感じだったけど、もう少しスカっとさせて欲しかったような。三匹あんま関係ないし。

 

「第二話」
シゲが常連として通っている「ブックスいわき」では、万引きが横行しているという。三匹と祐希はその警備を買って出るが。。。1冊の漫画を万引きされたら同じ本を5冊売らなければいけないという事実や、本屋の月の売上800万から手元に残るのは19万だという具体的な話が興味深かった。単純に、こんな経験をさせて素直に反省する子ばかりなら苦労しないとは思ったが。。まあいいお話ということで。

 

「第三話」
ノリに見合い話が!しかもそのお相手は不思議な縁のある人で、とてもいい人。しかし娘の早苗は受験生でその胸中は複雑――。母親ができるとか複雑な年代とかそういう話云々以前に、今まで二人で暮らしてきた家に他人が住むことに心から「バンザーイ!」って思う人なんてそうそういないと思うが。

 

「第四話」
キヨの嘱託先であるアミューズメントパークで、家庭ゴミの持ち込みや駐車場での散らかしが問題になっているという。駐車場でガラの悪い少年達と揉めてしまったキヨだが――。実際こういうの結構あるんだろうなあと思う。ゴミが公共の場や施設などで散らかっている場面なんて誰でもどこでも見たことあるよね。こういう人たちがやってるんだろうなあと。しかも注意されて逆ギレ。。。

 

「第五話」
お祭り復活に張り切る三匹のお話。しかし、寄進を断ってくるマンションや町内会と揉めてしまい――。う、うーん、ごめん、私、このお話だけはあまり同情出来なかった。。。^^;神輿とかお祭りとかに力を入れない地域で育ったしヤンキーが大嫌いなんで、全く興味がないのです。。。ウチも毎年千円取られるけど、居留守使いたいもん。。。こういう人もいるんですよ、ほんと。子どもがお菓子もらいに来るのはもうそれはしょうがないんじゃない?

 

「第六話」
町内で放火魔が出現。そんな中、偽三匹が見回りと称して町内に出没する――。最初は偉そうに勘違いしてる偽三匹に腹が立ったけど、結構可愛いとこあるじゃん(笑)。ってことで解決^^六匹のおっさんになったねえ。

 

「好きだよと言えずに初恋は、」
番外編。「植物図鑑」関連だというのはすぐにわかったけど、潤子が誰だとは分かっていなかった。しかもイツキかと思ったけど違うのね。。このお話が一番毒が強めだったんじゃないかなあ。作者も女性だからこういうのお上手よね。

 

以上。
うーん、とても面白かったけど、三匹の活躍が控えめだったような。もっと大暴れして欲しかったなあ。優等生的な作品でまとまってしまったかな。職業やそれぞれの世界をピンポイントで狙って掘り下げるところは有川さんらしくて興味深く読めるのだけど。悪く言えば、清々しさが昭和っぽい。実際の今の問題はもっと根深い気がして、「正義感」だけが取り柄の三匹では手に負えない世の中だと思うのだけどね。まあ有川さんが本気でそれをつついたらシャレにならないけど。