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ルー=ガルー 忌避すべき狼  (ねこ3.6匹)

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京極夏彦著。講談社文庫。

 

「狼に―出合うって?」。忌避すべき事象の暗喩でしょう、と雛子は言った。近未来。少女・牧野葉月にとって携帯端末こそが世界の総てだった。何もかもが管理された無味無臭なはずの世界で、血生臭い連続殺人が少女たちを脅かす。行方不明の同級生。祐子に忍び寄る“狼”の影―。シリーズ第一弾、初の文庫化。(上巻裏表紙引用)

 

 

ながっ(´Д`;文庫上下巻約900ページ...。京極さんだから余裕で楽しく読めると思ったのだが、期待と違った世界観に戸惑いかなり苦戦する羽目になった。文章はもちろん素晴らしく、登場人物たちの会話や主張も好みの応酬で流石って感じだったのだが。まさかの近未来SFとは( ̄▽ ̄;。。。漫画化&映画化されていることからもわかるように、主要登場人物4人が少女ということでかなりラノベっぽい世界。人はどうして人を殺してはいけないの?というような幼い禅問答のようなものもあって個人的にはキツかった。もちろん児童カウンセラーの大人や刑事も出てくるのだが。読みながら、「さっさと妖怪出ろよ」と延々と思っていた自分。。。

 

人が動物を食べることをやめ、学校もなくなり、端末に支配され安全が保証された世界。人と人がリアルにコミュニケーションを取ることはほとんどないという。なるほど合理的で無駄のない世界だが、ここに精神的な不健康さを感じるのは作者の意図したことだろうと思う。決して、この無機質さが「カッコイイ!」に直結するものではないと信じたいのだが。登場人物の誰にも萌えられなかったのが自分には致命的だった。ミステリーとしては映像的で刺激的でまあまあ盛り上がったと思うのだが。2があるようなのでちょっと辛いな^^;まさか京極作品に「合わない」小説があるとは思いもしなかった。