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深山木薬店説話集 薬屋探偵妖綺談  (ねこ3.7匹)

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高里椎奈著。講談社文庫。

 

美形の妖怪三人組が営む「深山木薬店」。彼らが織りなす「薬屋探偵妖綺談」シリーズの番外編。シリーズの前史となる、リベザルが秋や座木と知り合ったときの話、秋と零一の出会い。そして、シリーズの最終巻で、秋が旅立った後の、座木とリベザルの選択まで。次なるシリーズ「怪奇譚」の序章ともなる、必読の短編集。(裏表紙引用)

 


薬屋探偵シリーズ妖綺談の最終作。薬屋にまつわる様々な作品を収録した短編集となっており、次に続く「怪奇譚」シリーズとの橋渡し的な作品である。もちろん短編集だからと飛ばさないほうがいい。かと言ってシリーズを全て読んでいない人が読んでもあまり意味はない。作品の一つ一つが「懐かしのあの人」や、主要人物のサイドストーリーとなっているので、いきなりこんなものを読んでもわけわかめだと思う。

 

とは言っても、数ページの日常譚以外はシリーズファンであっても、よほど熱心に読み返している人でなければ「えーと、なんだっけ」となることも多々。さすがに人物に関しては「誰や」とは思わないが、あとがきの後に年表がついてくるので大丈夫。一応薬屋オールスターズ勢ぞろいだと思うが、登場回数が平等なので、「もっとリベザルを!」「葉山刑事は最初だけかい」「座木はどうした」などと物足りなさが残る。シリーズの雰囲気だけは存分に楽しめるということで。リベザルが店主となった怪奇譚が楽しみすぎる。