はやみねかおる著。角川文庫。
真野萌奈美、いたって普通の高校2年生…だったはずなのに、突然現れた男が身辺警護をするという。彼曰く、世界の出来事は、学校の出来事とシンクロしていて、わたしは世界の行く末の鍵を握っているんだって!早朝練習をしていた3つの部活の陣地争いが、中東紛争につながっているなんて、信じられないけど本当みたい。知らない人たちから、命を狙われることになったわたしの運命は、どうなっちゃうの!?ユーモア学園ミステリ。(裏表紙引用)
はやみねさんの新シリーズ。ちょっと今までと違う路線かな。ミステリ+SF+ファンタジーみたいな感じでなかなか面白かった。モナミと聞いて思わずポアロを思い浮かべてしまったが、普通に女の子の名前でした^^;
普通の女の子が世界を救うお話、と言うとありがちに聞こえるけれども、中東紛争とのシンクロ、という点が変わっていて良かったように思う。一応児童書なので、中東紛争や政治に関心を持ってもらえるよう部活の練習場所争いや教師の立場などに例えて分かりやすいように説明しているのが素晴らしい。基本的には軽いタッチのコメディで、随所に笑いが散りばめられているのだが、サラっと強いメッセージが含まれているところがいいな。選挙に行かない人は少なくないけれども、100人の民衆より1人の権力者のほうが強いからって何もしなければ、何も変わらない――この小説では、モナミという女の子を通してそれを伝えようとしているんだな。