シュークリーム・パニック Ｗクリーム （ねこ３．７匹）

倉知淳著。講談社ノベルス。

「絶食って、何も食べちゃいけないんですか」―体質改善セミナーに参加したメタボな男性4人組。インストラクターの無慈悲な指導によって、耐え難い空腹感が行き場のない怒りへと変わっていく中、冷蔵庫のシュークリームが盗まれる事件が発生する。ミステリマニアの受講者、四谷は探偵役に名乗りを上げるが―!?爆笑必至の「限定販売特製濃厚プレミアムシュークリーム事件」はじめ、ひと味違う本格ミステリ作品を3編収録! （裏表紙引用）

シュークリーム・パニック　Ｗクリーム

「生チョコレート」の続編。ああ、うん。こちらの方がずっと倉知さんらしくて良かった。題材が可愛らしくて、本格愛もあって、どれも好みの内容。

「限定販売特製濃厚プレミアムシュークリーム事件」
やっとタイトルに関係のあるお話が登場。でもなんだか米澤穂信っぽいけど＾＾；メタボ探偵っていうのが笑える。。インストラクターのキャラが最高に立っていて、お話もバカバカしくて良かった。事件は小粒だけど。

「通い猫ぐるぐる」
猫ファンにはたまらない内容。そして一番倉知さんらしくもある。毎晩のように通ってくる可愛らしい猫が、ある傷害事件の謎を握っているというお話。

「名探偵南郷九条の失策　怪盗ジャスティスからの予告状」
「ななみ♡マジカル」という人気漫画のお宝色紙が盗まれた――。名探偵南郷九条は、刑事と共に２００万円で競り落としたというその色紙を守ることになったが――というお話。ベタな探偵もので、ドタバタ具合がなかなか笑える。謎解きは本格的で、真相のほうはアンフェアぎりぎりであるが妙に開き直っているあたり許せるかな。九条のキャラは立っているけれど、オンリーワンな感じがしないのが残念。

以上。題材やストーリーが好みだったというだけで、「生チョコレート」がこれに劣っているわけではないと思うが。。。こちらのほうが出来が良く見えるな。倉知さん、また勢いづいてくるといいけれど（ご本人は自信作だそうなので申し訳ない言い草だが）。