すべてが猫になる

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本棚探偵の冒険  (ねこ5匹)

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ある時は人気漫画家、またある時はミステリマニアで愛妻家、しかしてその実体は――"古本者"だった。ポケミス求めて東奔西走、狂喜乱舞の乱歩邸、試行錯誤の豆本作り。単行本未収録の座談会「嗚呼、本日も古本まみれ」をオマケに付け、マニア魂を持つすべての人に捧げる、抱腹絶倒のエッセイ集、ついに文庫化。"
蒐めるだけで読まない人"が癒される一冊。

 


今までこの本を読んでいなかった自分を白ネギかモヤシで殴りたい。時代は進み、本書の文庫が手に入りにくくなってしまった。ブック○フオンラインにはいつまでも入らないし、月に5度は顔を出すブ○クオフでも、行きつけの新刊書店でも見かけたことがない、もちろんAmazonを見ても双葉社ホームページへ行っても買えない。ある日行きつけの本屋から届いた割引メールから辿ってやっと通販してくれる会社を見つけた。速攻ポチだよね。通販で1、2冊買いとかしたことほとんどないけど知らないよね。積ん読タワーの中でも最近買った本は後回しにするけど本書は届いて10秒で読み始めるよね。読みかけの面白くない海外ファンタジーがあるけど見えてないよね。

 

噂には聞いていたが、凄い内容だった。恥ずかしながら漫画家としての作者を全く存じないのだが、古本コレクターとして、我々ミステリマニアには(いや、そうでなくとも蒐集者には)神様のようなお方だった。京極氏や山口(雅)氏らと共に乱歩邸で発狂する姿は微笑ましく、ポケミスラソンと言って一日古本屋を廻り、コンプリートを目指す(メモだけでw)姿にときめき、函がないなら作ってしまえと仕事より熱心に製作する熱意に笑い、「T蔵書の謎」では気持ち悪い蔵書印を巡って推理を巡らす。豆本作りの根性には頭が下がる。「幻影古書店」では経験もないのに「わかる気がする・・・」となぜか同士の気持ちに。横溝正史の黒背表紙にはそんなドラマがあるのかと素人ながらも感心するばかり。寝る時の人型しかスペースがないほどの蔵書ってなんだ一体。え、置き場がなくて風呂場にも本が?他人の本棚を並べる時のこだわりは「自分もやってみたい!」と嫉妬にも似た感情が芽生える。ちなみに私は著者別だが、これが美しくないのも知っている。気まぐれで全部出版社別に並べ替えてみたりもする。「あ」の作家を買ってしまったら全部ズラさねばならない苦労も味わっているが、それが楽しいのだ。


私は、この方のような「コレクター」ではない。一般の人から見れば気持ちが悪いレベルの蔵書量なのは知っているが、上には上がいる以上、コレクターを名乗る気はさらさらない。そもそも、私は読むために買っている。だが、読んだあとに飾るためにも買っている。大昔の自分なら、蒐めるため、飾るためだけに買っている人を「ん~」と思っていただろうが、今ならわかる。本が死ぬほど好きなら根底に流れている血は同じじゃないか?少なくとも、ミステリーが好きだと言ったら「西村○太郎とか好きなんだよね?」と言ってくる人や「あ~、私も最近ケータイ小説読むんだよね」と言ってくる人や「私も結構本が好きな人なんだけど、じゃあホーム○ス中学生」とかもちろん持ってるんですか?」と言ってくる人(すべて実話)は絶対に同じ人種ではない。しかし、ブログやネットでしか出会えない、今これを読んでくれているあなた(そう、あなた!)は図書館派であろうと本は読むもの主義であろうと読まないけど蔵書は4桁以上であろうと同じ星の仲間だと思う。嫌がってもしょうがない。この本を読んで少しでもときめくなら、共感するなら、血が騒いだなら、間違いなくそうなんだから。


ところで、ポケミスって頑張ったら揃えられるレベルなの?^^;憧れるけど、自信ないや。私もせめて乱歩ぐらいは全出版社揃えてみようかなあ。横溝の黒いのも乱歩の青いのもクリスティもそこそこ揃えてたけど、売っぱらって今の黒背と全集と改訂版で集め直してるんだよね。しまったな(完全に本書に感染している)。