すべてが猫になる

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悪魔はすぐそこに/Devil at Your Elbow (ねこ3.7匹)

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D・М・ディヴァイン著。山田蘭訳。創元推理文庫

 

 ハードゲート大学の数学講師ピーターは、横領容疑で免職の危機にある亡父の友人ハクストンに助力を乞われた。だが審問の場でハクストンは、教授たちに脅迫めいた言葉を吐いたのち変死する。次いで図書館で殺人が起き、名誉学長暗殺を仄めかす手紙が舞い込む。相次ぐ事件は、ピーターの父を死に追いやった8年前の醜聞が原因なのか。クリスティが絶賛した技巧派が贈る傑作、本邦初訳。(裏表紙引用)

 


ディヴァイン3冊目。どれも面白いが、この作品が一番好きかな。なんと言っても、ミステリを読み慣れている自分が最後に「あっ!」と声が出てしまったぐらいだから。視点の妙やミスリードの上手さなのか、なんでこの犯人を自分の中で除外していたのだろう?と思う悔しさ。そう思うと、どうしてこのタイトルなのか?と考えていた疑問もあっさり氷解する。このヤラレタ感と爽快感こそ、ミステリを読むことの醍醐味なのだ。

 

何より、訳が大変読みやすかった。私が生まれる8年も前の作品だが、文化や時代の悪い意味での違和感はほとんどなく、難しいことを簡単に説明することの苦労をサラリとこなしている印象。ただ、舞台が大学なもので、登場人物の肩書が・・・^^;法学部長、経済学科教授、化学科教授、歴史学科教授、地質学博士、財務局長・・・覚えられるか!<(`^´)>