すべてが猫になる

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愛おしい骨/Bone by Bone (ねこ3.6匹)

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キャロル・オコンネル著。務台夏子訳。創元推理文庫

 

 十七歳の兄と十五歳の弟。ふたりは森へ行き、戻ってきたのは兄ひとりだった。二十年ぶりに帰郷したオーレンを迎えたのは、時が止まったかのように保たれた家。誰かが玄関先に、死んだ弟の骨をひとつずつ置いてゆく。何が起きているのか。次第に明らかになる、町の人々の秘められた顔。迫力のストーリーテリングと卓越した人物造形。『クリスマスに少女は還る』の著者渾身の大作。(裏表紙引用)

 


キャロル・オコンネルに初挑戦。実は数か月前から読んでいたのだが、想像を超える難解な文章と世界観にやられ3度挫折した。500ページ強の大作であるし、せっかくここまで読んだのだからと何度も壁を乗り越えやっと読了。

 

ストーリー自体はあらすじにある通り、それ以上でも以下でもないものだ。全体的にダークで不穏で閉鎖的な雰囲気なのが特徴で、ホラーじみてもいない。かと言って探偵もの、警察ものでもない。町に住む人々が、主人公とどういう関係なのか、死んだ弟とどう関わっていたのか。それが主人公の目を通して、あるいは「町の目」を通して、1つ1つ、あるいは1人1人、解きほどかれてゆく。町の人々にはそれぞれ鬱屈した想いと感情があり、そこに行動がある。

 

なんだろうなあ、話が進んだような進んでないような。真犯人も動機もわかったけど、重要なのはそこではなくて、その追い詰め方が「この町の人間らしい」ところにあると思った。弱くてずるくて一筋縄ではいかない、まともな人間が1人もいない。それでも、誰にでも守りたいものがあって必死に生きてる感じ、決して私はそこに嫌悪感は抱かなかった。苦労したけど、最後まで読んだ甲斐はあったかな。しかし、11年のこのミス1位だったというのは後で知ったけど・・・。これを読み切ってなおかつ評価した人がそんなにいるってことか。ちょっと信じられない。