すべてが猫になる

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美しき凶器  (ねこ3.5匹)

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 安生拓馬、丹羽潤也、日浦有介、佐倉翔子。かつて世界的に活躍したスポーツ選手だった彼らには、葬り去らなければならない過去があった。四人は唯一彼らの過去を知る仙堂之則を殺害し、いっさいのデータを消去。すべてはうまく運んだかに思われたが…。毒グモのように忍び寄る影が次々と彼らを襲った!迫りくる恐怖、衝撃の真相!俊英が贈る傑作サスペンス。(裏表紙引用)

 


読み始めて100ページほどで、「あちゃ、これハズレかな」と思ってしまった自分を殴りたい。題材がドーピング問題を扱った殺人、という自分に興味のないものだった上、もうどちらの犯人も分かっているし最初に起きた殺人の動機もなんとなくそのまんまっぽいし人工人間タランチュラの恐怖が少し失笑ものだったので(すまそ^^;)、あんまノレないまま読み進めていたのだが。20年以上前の作品であるにも関わらず、さすが東野圭吾という感想になった。あまり東野さんの作品っぽくなかったんだけどね。いや、そうでもないのかもしれないけど。分析出来るほど大ファンではないが一応氏の作品は70冊以上読んでいるので、印象ね、印象。

 

特記すべきところは、タランチュラと犯人たちとの追っかけっこと対決が思いのほか面白かったのと、スポーツ選手たちの裏切りや打算がうまくそれぞれの心理を描けていたところ。そして何より、心のないロボットのような印象を持っていたタランチュラの、思いも寄らない人間らしさ。というわけで総合的になかなか楽しめた作品となった。