すべてが猫になる

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クロク、ヌレ!  (ねこ3.8匹)

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真梨幸子著。講談社文庫。

 

 自宅のプールで謎の死を遂げた、世界的流行作家のジョー・コモリ。広告代理店社員の深田貴代美とプランナーの嶋元ミチルは、広告企画のために彼の人生を追い始める。やがて浮かび上がる無名画家の非業の死。二人の男を巡る狂気と妄執のドラマとは! 渾身の筆で小説の常識を打ち破った、著者最高の到達点。(裏表紙引用) 

 


自分的イヤミスの女王ツートップのお1人、真梨幸子さん。いや~、イイネ~イイネ~(*´Д`)イヤミスっぷりは今までに読んだ真梨作品の中で1番かも。メインストーリーはある素人画家の死の真相を探る、というそれほどそそられないものなのだけれど、この問題に関わる人間たちのイヤなことイヤなこと。

 

なぜか中心人物のジョー・コモリという大作家は死人として時々語り手として登場する(笑)。死人の立場から自分に関わる身内たちを俯瞰しているという状態で、生きている間にどれだけの人間に金としか見られていなかったかがわかる(笑)。まあこの人はともかく、事件の渦中となっている素人画家・彰夫がいきなりすごい。ほとんどが生前の手紙で人となりがわかるのだが、まあ芸術とはあーだこーだとさんざん語り、最後には実弟に金を無心して結ぶという安定のダメぶり。実弟の道夫は超がつくブラコンで、妻そっちのけでなけなしの金を送金( ゚Д゚)。一番イヤなのが実は道夫の妻・久仁枝で、これがまた義兄の彰夫を虫けらのように嫌っていた過去がある。現在は娘の彰子と暮らしているのだが、なぜかあんなに嫌っていた義兄の遺品を集めることに目覚め、気持ち悪いホームページまで立ち上げ、言動のすべてがおかしい。ウィキペディアに素人載せるなよ^^;;

 

これだけでは終わらず、広告業界のライターや社員の貴代美、これがまたイタイイタイ(;´Д`)。全ての仕事が空廻り。プレゼンで団地の良さを力説する姿にはもう哀れさしか感じない。いやもう、TV局の人間が川の名前を延々間違っているくだりとか、そういう名前すらない重要でない人物までとことんイヤな感じ、ひゃっほぅ。


と、いうわけで人々を読んでいるだけでもうたまらなく面白い。女同士のドロドロ、確執、妬みそねみがこれでもかと描かれている。ミステリ的にはいきなり真相が明らかになった感はあるが、まあそこは付け足しということで。

 

真梨さん、やっぱいいわあ。どっぷりはまっております。