すべてが猫になる

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死の扉/At Death's Door (ねこ3.5匹)

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レオ・ブルース著。創元推理文庫

 

英国のとある小間物屋で深夜、二重殺人が発生。店主のエミリーと、巡回中のスラッパー巡査が犠牲となった。町にあるパブリック・スクールで歴史教師をするキャロラスは、生意気な教え子プリグリーに焚きつけられて、事件を調べることに。嫌われ者だったエミリーのせいで容疑者には事欠かないが…素人探偵の推理やいかに?イギリス屈指の名探偵、キャロラス・ディーン初登場作。(裏表紙引用)

 

 

レオ・ブルース3冊目。2013年度本格ミステリベスト海外部門第2位の作品で、キャロラス・ディーンシリーズの1作目となる。とは言っても、2、3作しか翻訳されてないっぽいが。。。

 

私個人の印象だが、とにかく読みやすく楽しい。そして、もろアガサ・クリスティ(orホームズ)風。探偵がいて、小林少年みたいな役どころの生徒がいて、容疑者に聞きこみをして回り、最後は一同を集めて推理を披露、という王道中の王道を行った作風だ。生意気な生徒にうまいように操られ、授業そっちのけで推理を開陳するキャロラス。時には自ら犯人の罠に嵌まり、安楽椅子探偵ではないところをしっかり見せてくれる。容疑者たちも、「事件に関係あります!」と言わんばかりにペラペラ喋りーの怪しい行動しまくりーの。なんといってもこの事件、全員に動機があるっていうね。どんな被害者だよ。って、そんな被害者です。

 

という感じで雰囲気やジャンル的にはどストライクで楽しく読めたのだが。推理のほとんどが、「直感」というのがどうも自分の好みに合わなかった。刑事ものなら、ベテランがカンを活かすのも大いにアリだが、本格推理なら論理と証拠だけでお願いしたい。どうしてもこれ以外の結論はない、この人以外に犯行は不可能だった、的な。凶器や状況に基づく論理は正しかっただけに、そこだけはどうしても物足りない。