すべてが猫になる

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ハイスピード!/Severed (ねこ3.7匹)

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サイモン・カーニック著。佐藤耕士訳。文春文庫。

 

 タイラーは血染めのベッドで目覚めた。隣には恋人の惨殺死体。殺しの濡れ衣を着せられ、彼は不審なカバンの受け渡しを強制された。それが決死の逃亡の始まりだった。敵は何者か。なぜ自分が狙われたのか。陰謀の全貌は?敵の攻撃をかわしながら、彼は反撃の機会をうかがう。冒頭から全力疾走、一気読み確実の豪速サスペンス。(裏表紙引用)

 

 

邦題ダサいよ。

 

特になになに賞とかランキングものでもないようなのだが、イギリスで40万部売れている作家ということで読んでみた。売り文句は読み始めたら止まらない高速サスペンス、3時間一気読み必至。まあ、大げさではなくその通りだったかなーと思う。そういう意味では。

 

ストーリーはもろアクション系のハリウッド映画ふう。元兵士だが今は車のセールスマンであるタイラーは、ある朝ベッドで目覚めた。横には恋人の惨殺死体。傍にはタイラー宛てのDVDがあり、再生するとそこには自分とおぼしき男が恋人を殺す映像が映っていた。携帯電話にかかってきた脅迫電話の相手は、タイラーが人殺しだという証拠をこちらが握っていると言う。ばらされたくなければ、指定した住所のところへ行きブリーフケースを受け取れと指示してくるのだが――。冒頭1ページ目から、確かにスピード感溢れるハラハラ系サスペンスだ。巻き込まれ型でありながら、主人公が元兵士な為数々の困難を乗り越えたり、力が強かったり、カンが良かったりすることに無理がない。次々と起こる意外な展開、絶望的な状況が読む手を休ませない。文体もハードボイルド風で、内面の葛藤がしっかり描きこまれていてカッコイイ。

 

とまあ、文句なく面白くはあったのだが――。まあ、それだけと言える(笑)。タイラーが狙われた理由もなんか女々しいし、バンパイアの正体もイマイチすっきりしないし、あれだけの策略を巡らされた割には真相についての掘り下げが今ひとつかなあと。暇つぶしにするには、文章がカチっとしてて読みづらい気も。まあでも、これならあと1作も読んでみようかなーと思う。