すべてが猫になる

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櫻子さんの足下には死体が埋まっている  (ねこ2匹)

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太田紫織著。角川文庫。

 

北海道、旭川。平凡な高校生の僕は、レトロなお屋敷に住む美人なお嬢様、櫻子さんと知り合いだ。けれど彼女には、理解出来ない嗜好がある。なんと彼女は「三度の飯より骨が好き」。骨を組み立てる標本士である一方、彼女は殺人事件の謎を解く、検死官の役をもこなす。そこに「死」がある限り、謎を解かずにいられない。そして僕は、今日も彼女に振り回されて…。エンタメ界期待の新人が放つ、最強キャラ×ライトミステリ。(裏表紙引用)

 

 

※暗黒記事です

 

最近、表紙がイラストの小説が増えたなあ、ラノベの勢い凄いなあ。ちょっくら私も読んでみるかね。と思い、なになに賞受賞だの何万部突破だのと煽られた売れ筋のものを数冊購入。まずはタイトル、イラスト、一番自分の引きが強かったこちらの作品から。三作の中編が収録されており、薄いことも相まってサラっと読むには良さそう、フンフン♪

 

・・・・・・・・(;´Д`)ダメだった。。。

 

櫻子さんのキャラクター自体は意外と大丈夫だった。美人でスタイル抜群でお金持ちのご令嬢、でも言葉使いは「ナニナニしたまえ」というようなオッサン風、死体が大好き骨大好き、生きてる人間は苦手で周りに毒を吐きまくるが、自分の専門分野となったら途端に饒舌になる。「僕」と言わないだけマシだったからかもしれないが、おそらく多くの人が眉を顰めるであろう倫理観の欠如や自分勝手な言動は「個性」として片づけることができた。文章自体も、モトが携帯小説と考えるならば良いほうなのではないだろうか。数カ所、正しいのか首を傾げるような言葉の使い方が出てきたけれども、本を投げつけるほどではない。そこは自分ごときが糾弾するべきところではない。

 

今から書くことも、「ライトミステリ」と初めから銘打っているのだから、、と思えば許容範囲と考える向きもあるかと思う。が、事件が発生し、専門知識からその遺体の死因や自殺かどうか他殺かどうかの判断をする、それだけでハイ終了というのはいかがなものか。え、これで終わり?それが真実?というぐらいのあっけなさ。ホームズやポアロなら、現場をざっと見て疑問に感じたことを述べる、序盤の段階だ。比べるのもお門違いかもしれないが、海外ドラマ「BONES」を気に入って観ている自分には、それの何億分の一も薄っぺらく感じた。まあラノベだからね。標本士だからね。でも、YAミステリーですらもうちょっとちゃんとしているんじゃない?という印象は最後まで拭えなかった。読後、本を雑巾絞りしてやろうかという衝動と闘うぐらいに。

 

ただ。重厚な本の後や考えることに向かない気分の時、内容スッカスカの本が必要になる時がある。目で追って流して後を引かない、ドラマ性もない、ワビサビもない、そんな本。自分のその欲求には十分応えてくれた1冊ではないだろうか。若者や一定の層には受けると思うし実際受けているのだろう。だが、5巻まで出ている状況で、第2巻から読了者が半分にまで減っている読書記録サイトを目の当たりにした。そこでは酷評がよく目につく。だが密林では概ね高評価だった。これはどういうことだろう。これから読む人には一種のギャンブルだということなのだろうか。