すべてが猫になる

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二流小説家/The Serialist (ねこ3.5匹)

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デイヴィッド・ゴードン著。ハヤカワ文庫。

 

 残忍な手口で四人の女性を殺害したとして死刑判決を受けたダリアン・クレイから、しがない小説家のハリーに手紙が届く。死刑執行を目前にしたダリアンが事件の全貌を語る本の執筆を依頼してきたのだ。世間を震撼させた殺人鬼の告白本!ベストセラー間違いなし!だが刑務所に面会に赴いたハリーは思いもかけぬ条件を突きつけられ…アメリカで絶賛され日本でも年間ベストテンの第1位を独占した新時代のサスペンス。(裏表紙引用)

 


んも~長い!長いったら長い!(;´Д`)「このミス」「ミス読み」「文春ベスト」三冠ということで期待したけれど、これがそんなにどうして?と思う出来だった。

 

確かに人物設定は面白い。主人公ハリーは売れない二流小説家で、「アバズレ調教師」というペンネームでポルノ雑誌のライターをしている兼、母親の名前と姿を借りてヴァンパイア小説のゴーストライターをしている(耳は聞こえる)兼、別ペンネームでエロSF小説を描いているというね。。。そしてハリーの助手は彼が家庭教師をしている、女子高生。これだけで充分面白いんだ、うん。しかし、作中作にわけわからん自作を挿入したり(しかも二章から)、「ミステリ読者とは~」「作家とは~」みたいな薀蓄や会話が決して少なくなく、これは一体何の話なんだと訝しむこと数回。

 

そして状況設定も展開もやはり面白いんだ、うん。そんな冴えない中年作家が、自身のポルノ小説に感銘を受けたという死刑囚からの手紙にひょこひょこ呼び出されたと思えば、依頼は自分と自分のファンを登場させたエロ小説を描いてくれ、という。。。ハッハッハ。そしてその異常性癖を持つ女性たちに次々会いに行くのだけれど、これももううんざり。倒錯しすぎ。市橋容疑者についてた顔ファンみたいなのとはレベルが違う。

 

どうして自分はこんなものを読まされているんだろう。。と考え始めたころにはもう物語は中盤になっていた。やっと大事件発生!!遅いよンモー!( ;∀;)しかもブラック・ダリアもビックリのグッログロのめっちゃめちゃ。しかしやっと加速がついた。ジェットコースター的に、とは言わないが、読者への挑戦も差し挟み、犯人(?)にいい感じに襲われ、大事な人が巻き込まれ、都合良くロマンスが挿入され、なかなかのもの。

 

しかしどうしてどうして、あと100ページ以上もあるのに、解決したのに、終わらない(笑)。実際ストーリーはまだ続いてしまうのだけれど、ね。総体的な感想としては、構成が悪いとも思えないしメインストーリーはちゃんとしているのに、お遊びの要素が濃すぎて損しちゃってない?という感じ。個人的にはここまで独白の内容がグロいと今日の献立に支障をきたします。